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この人と語る21世紀のアグリビジネス |
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◆系統組織にリース機能を提供するために ――会社の設立は昭和47年でしたね。柳井 そうです。全購連と全販連が合併してJA全農が誕生する1週間前の3月24日ですね。系統組織にリース機能を提供することと、系統の豊富な資金を活用することを目的に、JA全農、JA共済連、農林中金が出資して設立されました。 ――日本のリース会社としては、御社は後発ですか。 柳井 昭和40年代から日本でもリース会社が設立されていますから、当社の設立もそう遅い方とはいえないと思いますね。 ――リース会社はかなりの数がありますね。 柳井 専業総合リース会社では上場会社が7社ありますが、これを筆頭にあらゆる会社がリース会社をつくっていて、銀行系、メーカー系、商社系とさまざまですね。 ――御社の場合は、系統組織をフルに活用して事業をしているわけですね。 柳井 系統組織のリース会社として、系統組織にリース機能を提供することが基本的な使命ですから、協同組合組織を営業基盤としています。余力があれば一般企業にもリースしていくということです。
柳井 年間取扱高2150億円の45%くらいが系統ですね。そして全国の農協の95%がなんらかの形でリースを利用していますし、全国連や県連、全国連等の関連会社などの利用もあります。 ――農協ではどういうものをリース利用しているのですか。 柳井 信用・共済事業のホストコンピュータやオンライン端末機関係、CDとかATMもそうです。その他選果機などの機械、Aコープの陳列ケース、そして自動車、さらには女子職員の制服までもリースされている農協もありますね。
柳井 リースというのは、当社がお客様に代わって物件を購入してそれを賃貸するわけです。いまの時代は、自分で所有すると必要がなくなったときの廃棄処分などが厳格化されてきていますから、必要な期間だけ利用したのちにリース会社に処分を委ねようというお客様が増えています。 しかし、何といってもリースの効果は経営効率化に貢献することだといえます。それはまず、設備投資をするときに初期投資が要りませんから、タイミングを逸することなく設備を導入できますし、資金効率を高めることが可能となります。 そして、リース料は費用計上できますから、使用期間に見合った償却効果を得ることができます。また、リース物件は当社の資産となり、ユーザが資産計上する必要がありませんので、固定比率の悪化を回避することができるオフバランス効果があります。 ――自動車などをリースすると、それにかかわる諸々のこともリース会社が面倒をみてくれるんですね。 柳井 自動車を1000台くらいリースされている農協さんもありますが、自動車の管理は保険とか税金、車検や修理など煩雑な事務処理が必要ですが、それらはすべてリース会社が行いますので、ユーザは煩雑な事務作業から解放され、人員の効果的な配置を行うことができます。 農協の場合には固定比率が何%以内でないととか、信用事業の他部門利用は一定の範囲以内でないといけないとか、いろいろな規制がありますが、リースを利用すればそういう問題がクリアできるというメリットもありますね。 ――最近は情報機器の短期リースが多いようですね。 柳井 業界の47〜48%、当社の55%くらいが情報機器ですね。パソコンなどは日進月歩ですから、短期リースなら陳腐化対応ができますし、廃棄処分するにはお金がかかりますから。 ――処分はリース会社がするわけですから大変ですね。 柳井 出口のところをどうするかですが、逆にいえば、所有するより使いたいときに利用すればいいということで、リースにとってはいい風向きにもなっているわけです。
柳井 いいえ、バブル期の不良債権を償却するのに当社も10年かかっています。かつてはリースだけではなく貸出もしていましたしね。それからいまでこそ海運は良くなっていますが海運不況のときにはけっこう潰れていますしね。航空機のリースの場合には数社でシンジケートを組みますが、昨年は海外航空会社の倒産で当社も十数億円の被害がありました。そういうリスクは常にあります。 ――しかし、現在は健全経営になっているわけですね。 柳井 歴代経営者が努力してバブル期のものは償却し13年3月決算で黒字化し、昨年復配することができました。 ――そして「中期計画」を立てられたそうですね。 柳井 現在、リース資産が6000億円ほどあり、業界6番目ですから規模的には上場できる条件にありますが、さらに財務体質を強化して20年度には上場可能な財務体質にしようということです。16年度から18年度まではそのための基礎づくりの3年間と位置づけています。
柳井 4〜5年が平均的なリース期間ですから、毎年2200〜2300億円を取り扱わないとリース残高が減ってしまいますから、営業は大変です。リース会社が多いので競合も激しいですしね。ただ、日本の設備投資に占めるリース調達は、大企業ですと6〜7%、中堅・中小企業は10〜15%で平均すると9%ですが、米国では3割を占めています。そういう意味ではリースは、まだまだ成長できる余地があると考えています。 ――リースへの依存が中小企業の方が高いということですが、今後の営業のターゲットもそういうところになりますか。 柳井 大型の物件ですと入札が多いですから、将来を考えて落とすこともありますが、場合によっては赤字ということもありますね。何でもかんでも取扱いを増やすよりは収益重視でいきたいと考えていますので、経営が健全な中堅・中小企業を中心に営業は頑張っていますね。
柳井 自給率を45%にといっても、それ以上に農業は落ち込んでいますから、厳しいとおもいますね。農政は消費者に軸をといっていますが、生産者に軸を置き過ぎたという反省はあるにしても、生産者と消費者との両軸にバランスよく軸を置いてもらわないとと思いますね。 農協も大型になりましたが、組合員との関係が希薄になりがちですね。そういう意味では、高齢化している組合員との結びつきを強めるために、当社は、介護保険を利用したベッドとか歩行器など福祉器具のレンタルを行っています。現在、52JAが取り扱っていますが今年度中に100JAにしたいと考えています。ベッドを400台レンタルしている先進的な農協もでてきていますしね。JA自動車共済に「自動車共済福祉用具貸与サービス」がありますが、この福祉器具も当社のレンタルで実施します。 ――大変よいところに目をつけられているわけで、今後がますます楽しみですね。今日は、ありがとうございました。
(2004.5.6) |
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