INDEXにもどる トップページにもどる 農業協同組合新聞 社団法人農協協会 農協・関連企業名鑑

12年度麦政策・価格対策組織討議で意見を集約
     ――5月10日に要求決定

 JAグループでは、麦の民間流通の定着と促進が円滑に図れるよう13年産の麦作経営安定資金の確保など国に必要な措置を求める特別運動を5月下旬から展開するが、その要求決定のための組織討議に4月上旬から取り組んでいる。

 国内産麦は、12年産麦から民間流通の仕組みが実施され、初年度は24道県、販売予定数量74万トンのうち約70万トン(90%)が民間流通に移行した。昨年9月には、初の播種前入札が行われ、販売予定数量の30%にあたる約19万トンが落札(落札率95%)、落札残も含めた残りの販売予定数量も相対取引で全量契約が締結された。

 13年産の民間流通麦の取引ルールについては、5月上旬の「民間流通連絡協議会」で検討される予定のため、生産者団体の意向をそれまでにまとめる必要がある。また、13年産の「麦作経営安定資金」についても6月初旬に国が検討を始める予定になっている。 一方、3月に策定された「基本計画」では、10年後には小麦の自給率を現行の9%から12%に、大麦・はだか麦は5%から14%に高める目標が示されている。

 こうした情勢のなかで、今回の組織討議の内容は、JAグループ自らが需要に即した良質麦の生産振興を図るための課題を明らかにし、そのうえで必要な対策を国に求めるというスタンスをとっている。

 討議のポイントは以下のとおり・・・・

@ 需給のミスマッチ解消に向けた対策の強化

 国内産麦の需要拡大は、生産コストの低減と品質向上が決め手となる。すでに産地・銘柄によっては一定の評価を受けているため、その生産拡大を図ることは可能だ。しかし、一方で昨年の入札結果では銘柄によっては需給のミスマッチも生じており「この解消を図る対策の強化が最も重要」となっている。

A 地域の麦作振興計画の見直し

 需給のミスマッチ解消のため地域単位で「麦作振興計画」を策定しているが、今後の出荷契約・販売予定数量の積み上げにあっては「品種の転換を含めて行政と一体となった需要に即した計画の見直 しが必要」と組織討議資料は指摘している。

B 新品種の育成・普及

 生産振興のため「麦新品種緊急開発プロジェクト(平成11年〜13年)」がすすめられているが、新品種の早期開発対策の強化と栽培技術の確立を通じた普及・生産拡大策も重要になる。

C 入札の仕組みの検討

 入札の仕組みは、価格形成、生産者手取りに大きな影響を与えることから、13年産については、初年度の条件を基本により円滑な取引となるよう実需者と十分な検討をする必要がある。また、小麦について導入された品質取引について、その単価設定と大麦・はだか麦での導入も検討する必要がある。

D 麦作経営安定資金の安定的運用の確保

 12年産の「麦作経営安定資金」の単価は「11年産政府買入価格」と「入札の基準となる価格(平成10年12月に決定された政府売渡価格)」との差額とされ、銘柄区分別・等級別に設定された。13年産以降については、前年度水準をベースに「生産費、収量等の一定期間の変化率」を用いて決めるとされている。また、所得の安定確保と将来の経営が展望できるように安定的運営を確保することが必要になる。

 討議資料では、こうした考え方のもとに”適正に決定”することを求めていく必要があると指摘し、経営安定資金と政府買入価格の決定時期についても検討が必要だとしている。 また、流通コストとなる取り扱い手数料、検査手数料、金利・保管料などは当面政府が負担することを決めており、「引き続き政府に助成を求めていく必要がある」としている。
 そのほか、「民間流通への生産者奨励措置への支援」、「国家貿易のもとでの内麦優先の基本政策の堅持」、「災害対策の確立」、「飼料用麦の食用麦への転換対策」、「政府買入の継続」なども求めていく必要があるとしている。

 運動日程は、5月2日に討議結果を集約、10日に要求を決定する。


農協・関連企業名鑑 社団法人農協協会 農業協同組合新聞 トップページにもどる INDEXにもどる

農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp