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食糧庁、コメ加工工場に立入検査
     ――「精米表示」の指導も徹底(4/18)

 ミニマム・アクセス米や加工用米が主食用に横流しされているのではないかとの指摘は、業界関係者からしばしば聞かれるが、18日、食糧庁はそうした不正な流通がないか、4月中に米の加工業者への立ち入り検査を実施し実態把握することを決めた。合わせて自主流通米販売の環境整備のために、食糧事務所による「精米表示」の徹底やリベート販売の監視強化も行う。また、11年産の自主流通米が見込みをこえて持ち越し在庫となる場合にも、必要な金利・保管料等の助成を行うことも決めた。

◆4月中に調査実施

 今回の措置は、3月21日に開催された「米の需給・価格情報に関する委員会」で実施することが決まっていた11年産自主流通米の”流通実態緊急調査”の結果が18日にまとまったことを踏まえたもの。
 加工原材料用米の国産加工用米とミニマム・アクセス米の流通実態調査の対象となるのは、全国に37ある米の変形加工工場が対象。

 これらはみそ、米菓などの製造業者だが、食糧庁はとくに主食用卸業者の許可も受けている“兼業”業者の調査を優先させる。通常、加工用米としては砕米を仕入れるが、こうした業者では“丸米”のまま購入するところもあるという。4月中をめどに、工場に立ち入り帳簿検査も行う。ただし、酒米なども含め、米の加工を行っている工場は全国で1000以上あるといわれる。
 また、食糧事務所では、精米表示の指導徹底、リベート販売の監視強化も行う。

 そのほか、政府米の販売に関する措置としては、昨年9月の緊急需給安定対策で講じることにした@11年産政府米の一般販売の凍結、A政府持越米の30万dの販売凍結、B自主流通米販売と連動した政府米の適切な販売、について「12米穀年度中の継続」を決めた。また、12米穀年度中の政府米の販売については、現行の価格を改定しない。
 

◆持越在庫の助成手法を検討へ

 11年産自主流通米は、これまでのところ販売進度が芳しくないが、食糧庁は調整経費を引き続き助成し、計画的な販売を推進する。
 その結果、自主流通米の今年10月末時点の持越在庫が米の需給計画で見込んだ16万トンを超えた場合にも「必要な金利・保管料等」も助成することを決めた。助成額は今後、財政当局との協議で決まるが助成そのものを行う方針は明確になった。
 同時に計画的販売の推進しても生じる持越在庫は、13年産米の計画生産量(ポジ配分)に影響を与えることから、面積配分に「不利が生じないよう配慮する」としている。

 13年産米からは、需要に合わせた米生産が本格化するが、在庫が生じた産地銘柄については、翌年の生産量を減らすのが一般的な需給調整の考え方になる。
 しかし、そうなると持越在庫が生じると見込まれた段階で、売り急ぐ産地も出て くることが考えられ、結局は、米価の引き下げ要因になってしまう。 このため生産者団体の意向も踏まえ、計画的販売によっても生じた持越在庫の扱いと翌年の作付け面積配分のあり方について検討することにしたものだ。JAグループも現在、13年産以降の生産・販売への取り組み方針について検討をしており、6月までにまとめる予定で、その結果を受けて本格的な検討が行われることになる。

 今後は、11年産米の販売・価格の動向、計画的生産の推進状況、12年産の作柄などをふまえ、価格の安定を確保するために11年産米の一部の市場隔離的な扱いについても視野に入れて検討していく。
 また、13米穀年度以降の米の需給計画の検討にあたっては、流通実態調査を行い流通在庫の動向や実態について考慮するとしている。


◆自主米販売「今後十分に回復」の見込み

 18日に「米の需給・価格情報に関する委員会」が公表した調査では、「巷間言われたような30〜40万トンの販売残が生じるような実態はない」と結論づけている。

 昨年の出来秋からの販売状況は、@計画外流通米が前年対比で18万トン増加しこれが先に流通したこと、A11米穀年度末に約18万トンの自主流通米が全農など出荷団体から卸業者に一括所有移転したため、流通在庫が膨らみその消化が優先されたこと、などから販売進度がかなり遅れていると実感されたと分析。

 しかし、@計画外流通米は流通のピークを過ぎたこと、 A昨年11月末には約46万トンにまで膨れ上がった流通在庫も3月末には約33万トンに圧縮、さらにB政府米の販売凍結措置により、昨年にくらべて政府米販売に約10万トンの販売遅れが生じていること、などから3月の自主流通米の販売は約38万トンと前年の32万トンを上回っているとしている。また、4月以降の販売見通しは出荷団体は約167万トンと見込んでいるが、卸売業者の仕入れ見込みは約176万トンと約10万トン上回っている。こうしたことから販売は今後十分に回復するとした。

 食糧庁は、今回の調査でとくに18万トンの一括所有移転による流通在庫の膨張が米の需給基本計画に織り込まれていなかったとして、今後も同様の調査を重視する方針だ。
 

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