21世紀に向けてJA共済連スタート
――相互扶助の理念のもと自らを耕し変革を
日本版ビッグバンをはじめ、国際的な大競争時代が進展するなかで、JA共済事業は @信頼に応える事業運営と地域社会への貢献、A優れた保障・サービスの提供による顧客満足度の向上を柱に、事業・組織全般にわたる変革を進め、揺るぎないJA共済事業を築きあげるために、47都道府県共済連と全共連が4月1日正式に組織統合し、JA共済連として新たなスタートをきった。
JA共済連のスタートにあたって記者会見を行った新井昌一会長は、全国一斉統合ができたのは 「一人は万人のために、万人は一人のために」 という産業組合以降の協同組合思想が 「共済事業を通じて浸透したこと」 と、平成3年から約10年間にわたり 「急激な環境変化に対応して討議してしてきた」 結果だと述べた。
また、JA・県・全国連の 「三段階がそれぞれの機能を果たしてきたが、電算システムなどで一社的な事業運営をしてきた」 ことも他の事業よりも早く統合を実現できた要素だったと前田千尋専務 (当時常務)。
今後の事業運営について西村博之専務は 「中央集権化への危惧を指摘されるが、各都道府県は50年の歴史をそれぞれもっているので、そのプラス面を保持し、足を現場においた事業運営を心がけ」、そのうえで 「少しでもまとまった姿」 にしていきたいと述べた。
新井会長は 「すぐに統合の効果は出ないが、共通の仕事をしてきたので、予想よりも早いスピードで効果が出てくるのではないか」 と考えているという。
人材育成もJA共済連の大きな課題だが、特に34兆円を超える資産運用を円滑に行うために、専門的知識や次々と出てくる新しい運用方法を学ぶために1年間の研修制度を設けることにした。また、県から50〜60人を全国本部に異動し、資産運用部門を強化するという考えも明らかにした。
統合によってJA共済連は、運用資産が34兆3062億円(12年2月末)、生命共済個人契約件数が1940万件、建更契約件数1500万件、自動車共済契約件数843万件、長期共済保有契約高391兆4169億円(以上、11年3月末)と、世界でも有数な規模となる。
また、自然災害損害調査スタッフが全国に約1万4000人(12年2月末)、自動車事故処理スタッフが全国に約6000人(11年3月末)となり、ライフアドバイザーも全国に約1万8000人(12年2月末)と2万人体制まであと一息という状況になっている。
◆全国本部・県本部役員が一同に会し記念式典開催
JA共済連は、4月7日に東京・平河町のマツヤサロン(全共連会館)で全国本部役員と各県本部運営委員会長・県本部長・同副本部長等が出席して「JA共済連統合記念式典」を開催した。
記念式典は、新井昌一JA共済連会長が「相互扶助の理念のもと、自らの心を耕しながら変革を図り、しっかりとした事業運営を行って」いきたいと挨拶した後、加藤源蔵JA全中副会長が来賓として祝辞を述べた。その後、西村博之専務が同日午前中の理事会で決定された執行体制について発表し、県本部役員による鏡開きを行い、歓談後散会した。
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