今年産から民間流通に移行した麦の生産者手取り確保などを求めてJAグループは6日、原田睦民JA全中会長らが谷洋一農相に2000年度の麦・なたね対策を要請した。
麦はコメに次ぐ主要食糧だが、自給率向上を目ざして、水田の転作物から本作物にするには課題が多い。 このためJAグループは麦作の定着をはかる総合的な施策を求めた。要請は生産振興をはじめ流通対策や経営安定対策にわたる。
品質の良い麦づくりに努力した農家が報われるようにする麦作の経営安定対策では、来年産の麦作経営安定資金の単価を、現行を基本に決め、生産性向上メリットを適切に農家へ還元すべきだとした。
政府は麦の民間流通にともない同資金を今年産から措置した。単価は昨年産の政府買い入れ価格と、入札基準価格つまり政府売り渡し価格の差額だ。
60キロ6463円(小麦U・T等)で、農家手取りは入札で決まる販売価格と麦作経営安定資金の合計が基本となる。
来年産は導入二年目となり、単価は今年産をベースに生産コストなどの変化率を用いて算定するが、JAグループは、生産性向上のメリットを農家に還元する措置を要請した。
また良品質麦生産の支援対策強化による生産者手取の確保も盛り込んだ。
流通コストの検査手数料、金利・保管料などは政府助成だが、来年産でも、実態を踏まえた対策で手取り確保を講ずることとした。
6日のJA全中理事会で正式に決めた要請はこのほか▽雨にたたられない前に収穫できる早生性など新品種の早期開発▽生産の集約化・ロットの大型化、また集出荷・乾燥調整の施設整備など流通対策の強化ーーその他となっている。
さらに災害収入共済では基準収量の見直しや、秋・春小麦の作付けなどに合わせた改善などの加入推進対策を要請した。
また規格外麦の円滑な流通を確保するための国内産麦流通円滑化特別対策の見直しも求めた。
今年産の政府買い入れ価格は現行を基本とした。
ナタネ対策では、交付金制度に代わる助成について定額助成の措置とし、初年度である来年度の単価は現行の生産者手取り確保を基本にするよう要請した。
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