早く安全宣言を JA全農などが課題まとまる 酪農家への補償も要請 −雪印問題 |
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厚生省は操業を停止している雪印の21工場を検査中だが、これについてJA全農は、検査結果をふまえた「安全宣言」を早く出すよう政府・与党などに要請することを13日の理事会で確認した。併せて牛乳・乳製品の需要拡大緊急対策や酪農家の経営安定対策など要請4項目をまとめた。厚生省は当初、安全宣言を8月上旬に予定していたが、安全確認作業のピッチを上げたため今月26日か27日には宣言を出せる見通し(農水省)となった。 一方、雪印の買い入れストップでだぶついた生乳を他社の工場に振り分ける配乳変更が連日続いている。 「毎日のことなので大変な作業だが、現在のところ、需要期でもあり、余乳の発生はない。しかし夏休みで学校給食用の牛乳需要が減るし、今後が問題」と全農の堀喬専務は懸念する。 短期的には配乳調整で切り抜けたとしても、やはり余乳発生は避けられない。これがバター原料に回れば現在、適正ストックの2倍以上になっている在庫が、さらに膨らむと中央酪農会議は頭を抱える。 雪印側は、これら価格差や運賃コストの問題に「誠意をもって対応したい」との姿勢を示しているが、全農としては「酪農家にしわ寄せがいかないよう関係団体と結んで全力を挙げる」(堀専務)固い構えだ。 雪印乳業問題全国対策本部は17日の第2回幹事会で全農の要請事項を協議し、18日は自民党の酪乳業安全対策本部に要望した。 ◆業界や厚生省の責任問う意見続出−自民党 雪印問題対策を協議している自民党の酪乳業安全対策本部(江藤隆美本部長)では14日の会議で、出席議員から「今回の事態を業界全体の責任としてとらえ、一体となった対応を考える必要がある」との意見が出た。また厚生省の指導監督責任を問う声もあった。 さらに「還元乳と生乳の違いをはっきりさせて、消費者にわかりやすく説明する表示を早急に検討すべきだ」との意見が強く出た。 食中毒は低脂肪乳や「毎日骨太」「カルパワー」などの加工乳が原因だ。これは脱脂粉乳などを水で溶いた「還元乳」であり、生乳を一滴も使わなくても「牛乳」を名乗れる。 14日の会議では「乳業メーカーは飲用乳の原料を生乳に切り替えて、牛乳の信頼回復を図る必要がある」「メーカーの過剰な利益追求体質が脱粉を使う還元乳を生み(生乳をバター原料に回し)バターの過剰在庫で生産者を苦しめている」などメーカーの、もうけ主義を批判する痛烈な批判も出た。 ◆市場安定後の見通し不透明 JA全農による生乳の全国的な需給調整は通常、一ヵ月程度のサイクルだが、事件以後は緊急避難的に日替りの配乳調整となった。 今は店頭から雪印が消えて他社製品に置き変わり、明治乳業がウーロン茶のラインを市乳品の緊急増産に転用するなど各社ともフル回転で増産中だ。だが雪印が生産を再開して市場が安定化してくると「供給過剰が顕在化してくるのではないか」と中酪会議では今後を懸念している。 |