水田農業の経営確立に向け運動展開を確認 今年で25回を迎えた全国稲作経営者会議の現地研究会と代議員総会が、先月18、19日の2日間、富山県宇奈月町で開かれ、全国各地から550人の大規模稲作経営者や生産法人代表者などが集まった。当日は、高木勇樹農林水産事務次官が農政改革について講演、また、JA全中の山田俊男専務も全体会議の来賓として出席しJAグループの事業をめぐって参加者と意見交換もした。 |
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変化のなかで経営自立を模索 「今の変化をどう受け止め、どう独立していくか。われわれはいかなるときでも前向きに取り組まなくてはならない」。開会の挨拶で全国稲作経営者会議の五月女昌巳会長はこのように参加者に呼びかけた。 今年の総会では「水田農業確立に向けてのアピール」を採択した。そのなかで「水田を中心とした土地利用型農業活性化対策大綱」の実施を踏まえ、「単に政策の受け手としてだけでなく、責任をもって積極的に参画していくこと」を強調し、「消費者ニーズにあった作物生産」や「米以外の作物に転換する農業者の経営の安定」などを訴えている。 基調講演では、今後の農業経営を考えるための参考として、富山県出身で米国で養鶏業を営む(株)イセの伊勢彦信会長が「アメリカの養鶏業者の競争と協調」と題して話した。 現場からの政策提言を 農林水産省の高木勇樹事務次官は新基本法の制定過程と今後めざすべき農業について語った。 また、行政の姿勢としては、「政策が地に足のついたものかどうかを検証するには現場をみることが大切」としながら、逆に「現在の政策について現場で気に入らないことがあれば実力行使をしてもらってもいい。国との無用ないさかいは避けるべきだが、前向きで建設的な実力行使であれば農業経営の活性化につながる」などと語った。 生産調整の必要性を強調 高木次官の講演後は会場から質問が相次いだ。 また、今後の米生産について会場からは「食糧法で作る自由、売る自由が認められたははず。生産調整はやめて自由に販売したい」との声も上がったが、高木次官は「市場原理とは非常に厳しい。自由に作って自由に売るといっても価格はどうなるのか考えなくてはならない。果樹でもつぼみの段階から生産量を調節している」などと計画的な生 産の必要性を強調した。 JA改革に対する注文も 基調講演の後に全体会議には、来賓としてJA全中の山田俊男専務も出席。今年のJA大会議案には、地域農業づくりのために担い手を重視する姿勢を打ち出し、大口利用に対する対応もJAが実践することなどが盛り込まれていることを紹介した。
山田専務は「自立した農業者がこれから必要になるが、現状のまま市場原理に委ねれば米に値段はつかず大混乱になる。計画生産に取り組むことによって初めて経営安定が図れる」などとJAグループの取り組みに理解を求めた。 会場の議論からは、大規模生産者や生産法人は地域農業の担い手として自負を持っていることも感じられた。各地のJAにとっても、今後、積極的な対話を通じてJAの新たな事業を具体的に作り出していくことも重要な課題だろう。 |