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飲用乳の商品区別をわかりやすく
  農水省の表示検討会で議論
  生乳使用割合の明示なども (9/18)


 牛乳の表示はわかりにくい。以前は輸入した脱脂粉乳を水で溶いた加工乳や乳飲料でも商品名は「牛乳」で通ったが、政府はこれを改善して、「牛乳」を名乗れるのは生乳の使用割合が50%を超えるものだけとした。しかし雪印事件から、表示の明確化を求める声がさらに強まったため農水省は検討会を設けて、関係者の意見を聞いている。

 飲用牛乳の種類別表示には加工乳、乳飲料という行政上の隠語めいた厚生省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)による文言や、また還元乳という業界用語も使われて、とうてい消費者の理解が得られない現状だ。
 このため第1回検討会では難しい用語を改めると共に、現在の5つの商品区分(種類別)を4つか3つに整理する意見が出た。

 4区分案は、部分脱脂乳を「低脂肪牛乳」に、脱脂乳を「無脂肪牛乳」に改め加工乳と乳飲料はひとくくりにして「乳加工飲料」(仮称)と呼ぶことにしてはどうかというもので、普通の牛乳はそのまま「牛乳」という名称とする。
 これはカルシウム強化などの機能性を重視した商品としては加工乳と乳飲料を区別する必要性がなくなってきているという現状を踏まえたものだ。

 また3区分案は@牛乳A加工乳B乳飲料で、これは消費者は部分脱脂乳と脱脂乳の表示をみていないとする認識による。

消費者委員と乳業メーカー委員の意見対立

 12日の第2回検討会は、こうした論点整理をめぐって議論した。

 酪農家代表の委員は「消費者には加工乳と乳飲料の区別がつかないのだから生乳100%か、加工品かの2区分にくくったほうがよい」「部分脱脂乳という名称はわかりにくいから改めるべきだ」などと述べ、消費者の委員は「生乳使用割合50%超の商品が『牛乳』であるという規定を知らない消費者が多い。加工乳と乳飲料では生乳の%を義務的に表示すべきである」と主張。また学識経験者の委員は「普通の牛乳にも生乳100%といった表示が必要だ」とし、酪農家の委員も同調した。

 これに対し、乳業メーカー代表の委員は「牛乳と加工乳の成分には、それほどの差がない」として生乳使用割合の表示に疑問を投げて対立した。また「もし義務付けをするなら使用割合の検査を厳格にしないと企業の存続に関わる」とした。
 さらに牛乳と部分脱脂乳・脱脂乳を区別することは乳製品の消費マイナスになると反対。販売業者の委員もこれに同調した。

 飲用牛乳などの表示には乳等省令による種類別と、公正競争規約による商品名の2つの物差しがあり、検討会には厚生省と公正取引委員会の担当者も出席している。表示改正の大詰めでは農水省とのすり合わせが必要となる。次回の検討会は10月上旬の予定。



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