青果対策特別運動を展開中のJA全中が11月下旬にまとめた野菜の輸入と価格の動向によると、今年産の卸売価格は、最大で平年より約4割も下がっている。
政府が輸入の影響を実態調査する対象とした4品目では次のとおり。
ネギ=平成8年から輸入が増え、今年は国内流通量に占める割合が一割(7−9月)に達して、国産ネギを圧迫。価格(4−9月)は前年同期に比べ18%下落した。中国、豪州、韓国からの輸入が多い。
トマト=7年から輸入が増え、今年は9月までで、すでに昨1年間の輸入実績を超え、国内流通量の2.4%に達した。去年は1%だった。価格は18%下落した。韓国、米国、カナダからの輸入が多い。
生シイタケ=今年の輸入は9月までに前年同期の41%増となった。国内流通量に占める割合は昨年すでに約3割に達した。価格は国産の3割程度で取引され、このため国産は前年に比べ約13%下落(1−9月)。中国からの輸入が圧倒的。
タマネギ=今年の輸入量は前年より3割程度減る見込み。国内流通量に占める割合は昨年で約18%。昨年の輸入物の価格は前年より約35%の激安だった。このため今年産(4−9月)の国内価格は10年産より約4割も下がった。輸入は米国からが84%と圧倒的で、ニュージーランドが53%。
こうした価格暴落を受け、指定野菜を対象にした野菜生産出荷安定対策による価格補てん事業の実施状況は上半期で129億5300万円に達する見込み。これは前年同期の10倍以上だ。
一方、輸入品の原産地表示は、国産品を含め「全部に表示あり」が農水省の調査によると、約半分にとどまっている。改正JAS法の品質表示基準に基づく生鮮食品の表示は7月からの実施だが、不成績だ。
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