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食肉消費はわずかに増加、輸入物はわずかに増加
  −12年度下期畜産物の需給・価格見通し (12/22)


 農水省官房調査課は12月15日、「平成12年度下期の畜産物等の需給・価格の見通し」を発表した。平成12年度農業観測(12年6月9日公表)を補完するため11月30日及び12月4日に農林水産統計観測審議会農業観測部会畜産物第1小委員会、同第2小委員会メンバーによる畜産物等需給動向検討会(座長・栗原幸一麻布大学獣医学部名誉教授、浅野九郎治(社)家畜改良事業団理事長)をそれぞれ開き、12年度下期の牛肉、豚肉及び牛乳・乳製品並びに鶏肉、鶏卵、飼料の需給・価格の見通しを検討したもの。概要は次のとおり。

(注)表記中、「わずか」は±2%台以内、「やや」は±3〜5%台、「かなり」は±6〜15%台(かなりの程度±6〜10%台、かなり大きく±11〜15%台)、「大幅」は±16%台以上。

1.食肉全体(牛肉・豚肉・鶏肉)

 @消費−12年度下期の家計消費量は、10年4月以降食肉の平均購入単価が下落し、家計消費量が増加傾向にあったが、11年夏以降は再び減少傾向にあること等の最近の傾向からみて前年同期並み、ないしわずかに減少と見込まれる。
 一方、12年度下期の食肉の加工・外食等消費量は、特に加工・外食等消費の約4割を占める鶏肉が調理食品等に対する需要が増加傾向にあること、安価な輸入鶏肉調整品の供給増や生鮮食肉からの需要シフトが継続するとみられることなど最近の動向からみて、わずかに増加するとみられる。この結果、下期の食肉の1人当たり消費量は前年同期並みないしわずかに増加すると見込まれる。

 A供給−(国内生産)食肉の国内生産量はすべての品目でわずかに減少すると見込まれることから、食肉全体ではわずかに減少すると見込まれる。
 (輸入)輸入量は、消費量がわずかに増加すると見込まれる中で国内生産量がわずかに減少するとみられることから、わずかに増加すると見込まれる。品目別では牛肉がわずかに増加、豚肉がほぼ前年同期並み、鶏肉が前年同期並みないしわずかに増加すると見込まれる。

2.牛 肉

 @消費−牛肉への支出を抑制している最近の動向等からみて家計消費の減退が継続するとみられ、消費量はわずかに減少すると見込まれる。
 一方、下期の加工・外食等消費量は11年度後半から調理食品等の需要増加によりおおむね前年同期を上回って推移しており、わずかないしやや増加すると見込まれる。この結果、下期の1人当たり消費量はわずかに増加すると見込まれる。

 A供給−(国内生産)下期の成牛と畜頭数は、肉用種が子牛の生産動向(出荷時月齢の約30カ月前)等からみて、やや減少すると見込まれ、乳用種が子牛の生産動向(出荷時月齢の約22カ月前)や最近の飼養動向等からみて、わずかに減少が見込まれることから、やや減少すると見込まれる。また、12年度下期の成牛枝肉生産量は、こうした成牛と畜頭数の動向からみて、やや減少すると見込まれる。
 (輸入)消費量がわずかに増加、国内生産量がやや減少が見込まれる中、わずかに増加すると見込まれる。このうち冷蔵品はわずかに増加すると見込まれ、冷凍品は輸入在庫が例年になく増加していることから、ほぼ前年同期並みになると見込まれる。

 B価格−下期の牛枝肉卸売価格(省令価格)は、消費量がわずかに増加すると見込まれる中、国内生産量がやや減少すると見込まれるものの、前年度下期が高水準で推移したこと、家計消費が中心であること等から、ほぼ前年同期並みになると見込まれる。

3.豚 肉

 @消費−昨年秋以降家計消費量が伸び悩んでいるものの、前年同月をわずかに上回る月もみられること等の最近の動向からみて、下期の家計消費量はほぼ前年同期並みになると見込まれる。一方、12年度下期の加工・外食等消費量は、11年秋以降増加幅が減少しており、本年6月以降は前年同月を下回って推移している最近の動向からみてわずかに減少すると見込まれる。この結果、下期の1人当たり豚肉消費量は前年同期並みないしわずかに減少と見込まれる。

 A供給−(国内生産)下期の肉蓋と畜頭数は、子取り用めす豚の飼養頭数が全国的にはわずかに減少していること等から、わずかに減少すると見込まれる。また、下期の豚枝肉生産量は、このような動向からわずかに減少すると見込まれる。
 (輸入)消費量が前年同期並みないしわずかに減少、国内生産量がわずかに減少と見込まれる中、11年度下期の輸入量が比較的高水準にあったこと等からみて、ほぼ前年同期並みと見込まれる。このうち冷蔵品はわずかに増加、冷凍品は加工・外食等需要が減少傾向にあることからわずかに減少すると見込まれる。

 B価格−豚枝肉卸売価格(省令規格)は、消費量が前年同期並みないしわずかに減少と見込まれる中で、国内生産量がわずかに減少、冷蔵品輸入量がわずかに増加と見込まれること、本年10月30日から前年に引き続き生産者団体や加工業者団体による調整保管が実施されていること等から、ほぼ前年同期並みになると見込まれる。  

4.鶏 肉

 @消費−下期の家計消費量は12年度に入り家計消費量等がわずかに増加していること、牛肉、豚肉の家計消費量が減少傾向にある中で、相対的に価格の安い鶏肉に需要がシフトしているとみられること等から前年並みないしわずかに増加するとみられる。一方、下期の加工・外食等消費量は、安価な輸入鶏肉調整品の供給増や生鮮鶏肉からの需要の代替等が継続すると見込まれること等からほぼ前年同期並みになると見込まれる。

 A供給(国内生産)下期の鶏肉生産量は、12年の飼養羽数はわずかに増加しているものの、前年度下期以降の価格の低迷を背景にひな導入が減少傾向にあること等からみて、わずかに減少すると見込まれる。
 (輸入)消費量がわずかに増加、約3分の2を占める国内生産量がわずかに減少と見込まれるものの、在庫量が過去最高の水準になっていること等から、下期の鶏肉(調整品を含む)輸入量は前年同期並みないしわずかに増加と見込まれる。
 主要な輸入先国別にみると、中国産が調整品を中心に増加、ブラジル産が安価なオファー価格を背景にわずかに増加すると見込まれるものの、タイ産、米国産は相対的な競争力低下等から減少すると見込まれる。

 B価格−下期のブロイラーの正肉卸売価格では、主として家計消費に向けられる「もも肉」は、わずかに増加すると見込まれ、主として加工・外食等消費に向けられる「むね肉」は前年同期に比べ下落幅は縮小するとみられるものの、安価な輸入鶏肉や輸入調整品との競合等から、やや下回ると見込まれる。  

5.牛乳・乳製品

 @消費−茶類飲料等との競合から最近の牛乳消費は低迷しているものの、本年6月末に発生した雪印乳業食中毒事故以降、加工乳・乳飲料から牛乳へ消費がシフトしていること等から、ほぼ前年同期並みになると見込まれる。また、乳製品の消費量は、前年度まで増加傾向で推移してきたチーズの家計消費量が減少に転じているものの、バターの消費拡大対策等で、わずかに増加すると見込まれる。これらの結果、下期の牛乳・乳製品の1人当たり消費量は前年同期並みないしわずかに増加すると見込まれる。

 A供給(国内生産)生産量はわずかに減少すると見込まれる。地域別には、前年の猛暑による受胎の遅れから今年度上期が減少した北海道で生産量が回復するとみられることからほぼ前年同期並みと見込まれ、都府県では飼養頭数が減少傾向にあること等からわずかに減少すると見込まれる。
 また、用途別処理量では、飲用牛乳等向け処理量は、食中毒事故以降の飲用牛乳等の消費動向からみてわずかに増加すると見込まれ、乳製品向け処理量はわずかに減少すると見込まれる。(輸入)乳製品輸入量(生乳換算)は、わずかに増加すると見込まれる。

 B価格−生産者価格(総合乳価、全国)12年度の加工原料乳保証価格が引き下げられたものの、飲用牛乳等向け処理量の割合が増加するとみられることからほぼ前年同期並みになると見込まれる。

6.鶏 卵

 @消費−家計消費は消費者の少量買い等の消費動向で前年同期を下回るなど低水準にあり、購入単価、購入数量ともに減少傾向にあるものの、前年同期の減少幅が大きかったこと等から鶏卵家計消費量はほぼ前年並みと見込まれる。加工・外食等消費は今年度に入り低調に推移する中、最近わずかに回復のきざしもみられることから、下期の加工・外食等消費量はわずかに増加すると見込まれる。この結果、警らの1人当たり消費量は、ほぼ前年同期並みないしわずかに増加すると見込まれる。

 A供給−(国内産)成鶏の採卵供用期間は今後短縮するとみられるものの、11年6月以降前年を上回って推移していたひなえ付け羽数が12年度に入っても引き続き増加していることからわずかに増加すると見込まれる。
 (輸入)国産鶏卵の卸売価格は前年同期を下回ると見込まれるものの、加工・外食等消費はわずかに増加すると見込まれることから、下期の輸入量は前年同期並みないしわずかに増加すると見込まれる。

 B価格−下期の鶏卵卸売価格(東京、M規格)は、消費量がほぼ前年同期並みないしわずかに増加すると見込まれるものの、国内産量がわずかに増加すると見込まれること等から前年同期に比べやや下回ると見込まれる。なお、家計の動向等によっては卸売価格が大きく変動すること等があることから、今後の動向を注視する必要がある。  

7.飼 料

 @需要−飼料需要量(TDNベース)は家畜の飼養動向等を反映して、ほとんどの畜種でわずかに減少するとみられることから、全体ではわずかに減少すると見込まれる。

 A供給−(濃厚飼料)下期の配合・混合飼料生産量は、ほとんどの畜種でわずかに減少すると見込まれる。また、飼料穀物全体の輸入量(実量ベース)は、こうした動向をおおむね反映してわずかに減少すると見込まれる。
 (粗飼料)下期の輸入量(TDNベース)は、国内の飼料作物の収穫量の増加が見込まれること等から、わずかに減少すると見込まれる。

 B価格−配合飼料の農家購入価格は、12年10〜12月期の配合飼料のメーカー出荷価格が引き下げられ、また、最近の飼料穀物の国際相場は低水準となっているものの、前年同期がが下落傾向にあったこと等から、前年並みで推移すると見込まれる。なお、為替相場の動向によっては、とうもろこし等の輸入価格の変動もあり得るため、今後の動向を注視していく必要がある。



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