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小冊子『水稲種子消毒廃液処理方法』を発刊
  適切な廃液処理の指導・普及推進に活用を −JA全農 (12/25)


 JA全農肥料農薬部はこのほど、『水稲種子消毒廃液処理方法ー豊かな実りと美しい環境のためにー』の小冊子を発刊した。A4版、30頁。平成8年に作成した資料の改訂版だが、内容がより充実したものとなっており、本書が多くの方々に活用され、環境に配慮した種子消毒廃液の適正処理が行われることが望まれる。

 種子消毒は、種子に付着している病原体や諸害虫を防除するために欠かせない作業だが、この廃液を不適切に処理した場合には魚介類へ悪影響を及ぼしたり、環境汚染の原因となるおそれがある。間違ってもそのまま河川や用水等へ流れ出すことがあってはならない。
 種子消毒廃液を適切に処理していく方法としては、大きく分けて処理プラントなど本格的な廃液処理装置を使用する方法と特別な廃液処理装置を使用しない簡易な方法の2種類がある。

 廃液処理装置を使用した廃液処理方法は、あらゆる種類の消毒廃液に対し、高い除去能力を有する処理方法であり、処理は簡便で、しかも軽作業で済むメリットがある。処理時間は約8時間程度かかるが、全自動タイプであれば夜間運転や種子消毒作業と平行して行うことも可能だ。ただし、装置を設置するため、装置規模やタイプにより異なるが、最低400万円以上のコストがかかる。
 現在のところ、全国的に納入およびメンテナンスが可能で、安定した処理実績を積んでいる農薬廃液処理装置は、日本農薬(株)製造の「アグリクリーン」と明和工業(株)製造の「いずしみず」の2種類。それぞれ処理方法に特徴があり、処理実態に合わせて装置を選択していきたい。

 一方、簡易廃液処理方法は活性炭や凝集剤(または沈殿剤)などを使用して処理する方法であり、廃液処理装置に比べてコストが安く、活性炭などの身近な資材で簡易に処理できる方法だ。処理全般が手作業となるため、多少の労力と時間がかかるが、極めて高い除去性能を発揮する。
 なかでも、「スマシーマ」を使用した処理方法(日本曹達(株)の特許)は、ほとんどの種子消毒剤に対応できる優れた処理方法となっている。

 今日、種子消毒後に生じる廃液については、環境に負荷を与えない適切な処理を実践していくことが大変重要となっている。適切な廃液処理の指導・普及推進に当たっては、最新の知見に基づいて適切な処理方法を取りまとめた本冊子を十二分に活用していただきたい。




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