JA全中は1月18日の理事会で「第22回JA全国大会決議に基づく行動計画」を決定した。昨年のJA全国大会で決めた事項を着実に実践するためのものでJAグループとしてこうした行動計画を決めたのは初めてのこと。17年度までに「安心システム」の産地を400産地まで拡大することや、生産資材コストの低減に向けて、広域集中システムを構築し17年度には最大で20%削減することなどの具体的な目標を掲げた。実践の進捗状況は3か月ごとに全中理事会に報告することも決めた。
生産資材 対象重点品目別価格引き下げ目標
「行動計画」は大会決議に沿って、
@「農の力を最大限に発揮し農を支える担い手を最大限に支援する営農・経済事業改革等の実践」
A「JAグループの組織・信用・共済事業等の改革」
B「農と共生の世紀づくりへの取り組みと食料・農業・農村の国民理解の促進」
C「大会議案の着実な実践」
の4つの柱でまとめられている。
◆戦略づくりの専任者を育成
営農・経済事業の改革では、地域農業戦略の策定のための担い手を中心とした「地域農業戦略協議会」の設立がポイントになっている。
JAの地域営農センターが事務局機能を発揮し、自給率向上と有利販売による所得向上をめざし戦略を策定する。全JAで遅くとも15年度中に決めることを目標にした。
そのため、JAには販売事業と連動しながら戦略が立てられるよう現在の営農指導員を対象に「生産販売企画専任者」の育成を図る。全中と全農で研修体系を確立し、600人程度の育成をめざす。
また、営農ネットワークシステムとして稼働している「アピネス/アグリインフォ」を活用し、新たに大規模農家・法人や集落営農のリーダーとJA、連合会を結ぶネットワークも構築、営農相談対応を確立する。1万人程度の会員数が目標だ。
さらに、担い手のニーズとなっている、JAへの部分的な販売委託や生産資材価格の弾力化、連合会との直接取引などに対応するため、連合会では14年度までに専任体制を整え、JAでも17年度には8割のJAで専任体制を設置し、担い手を支援する。
JAグループの販売力強化策では、「安心システム」の推進とファーマーズマーケットの拡大が柱だ。安心システムは、現在、50産地で取り組んでいるが、これを15年度には200産地、17年度には400産地まで拡大する目標を掲げた。同時に検査・認証制度を整備するため検査員を15年度までに140名(現行80名)にまで増やし、17年度には検査認証機関の第3者機関化をめざす。
ファーマーズマーケットは現在、551JAで設置しているが、今後は設置の促進とともに地場生産を中心とした周年的な品ぞろえの充実など運営管理面も強化し、JA全体で5000億円の販売高をめざすとしている。
◆農家配送拠点を300に
生産資材コストの低減のために、広域集中システムの構築を図る。具体的には15年度に物流情報センターを設置し、これをもとに17年度には、請求精算事務処理集中機能を付加して「全国事務集中センター」を稼働させる。
これと合わせて、肥料、農薬などの農家配送拠点を全国で300か所に整備する。これらの業務・物流コストの削減で2〜5%の引き下げが可能になるとしている。
同時に、担い手の営農規模・機能に応じたロットや配送形態を加味した価格設定の実現で5%の引き下げを目標にし、さらに低コスト資材の拡大による10%の引き下げも目標にしており、これらの対策によって17年度には最大で20%の生産資材費の引き下げが可能になるとしている。
生活購買店舗については13年度中に統廃合基準を見直し、業態転換メニューの補強、JA−SSについてはスーパーバイザー制度の導入により17年度までに赤字施設・店舗の解消を図ることにしている。
◆独立採算性の確立めざす
JAグループの組織と事業面では、中央会機能の強化のために14年度から監査機構を設立する。信用事業では14年4月のペイオフ解禁を控え、13年度中にJAバンクシステムを確立し、破綻未然防止策を実施する。
また、JA経営については、経営不振JA等では13年度に経営改善計画の策定、実践、検証を行い、17年度までに部門単位での独立採算制の確立をはかることを目標にしている。
そのほか、高齢者対策では介護保険事業実施JAに対しての新たなコンサル体制を15年度に導入するとともに、介護保険事業に取り組むJAを現行の370から15年度には600〜700まで拡大することも目標にした。
行動計画の進捗状況は3か月ごとに全中理事会に報告、公表される。「半年、1年かかる課題もあるが報告はしていく。緊張感を持ってこの仕事に取り組んでいきたい」とJA全中の山田俊男専務は話している。
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