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自治体・JAのトップ層、 セーフガード発動 8割が求める(2/23)


 (社)農業開発研修センター(藤谷築次会長理事)は、このほど「食料自給率目標に関する自治体・JAトップ層意識調査」の結果を公表した。調査項目は、@2010年度に食料自給率を45%とする目標についての見解、A目標値45%は実現できるか、B農産物のセーフガード発動に関する見解の3点。
全国の市町村、JAともに2分の1を抽出し回答を依頼、回収数は775だった。(市町村613、38.0%、JA162、24.0%)。

 食料自給率目標を45%と設定したことについては、全体では「この程度が妥当」がもっとも多く59.1%だった。ついで「もっと高く設定してほしかった」が34.3%。「もっと低くてもよかった」は3.1%だった。
ただし、市町村とJA別に回答をみると、市町村では「妥当」が61.8%、「もっと高く」が31.2%で、これに対しJAでは「妥当」が48.8%、「もっと高く」が46.3%となっており、いずれの回答も10ポイント以上の開きがみられる。自治体とJAでは立場の違いも表れているようだ。  地域別では、中核的農業地域(北海道、東北、九州)では「もっと高く」が47.2%と高率なのに対して、都市近郊地域(南関東、東海、近畿、山陽)では25.75と低い。中山間地域も29.8%だった。
 また、「もっと高く」と回答した自治体・JAが考える目標値は、「46〜50%」が50.6%、「51〜60%」が31.7%だった。自給率目標の設定をめぐっては、目標を掲げる以上は最低でも50%とすべき、という声が根強かったが、今回の調査結果でもそうした期待が強いことが伺える。
 コメントとしては、「現状の40%から10年後に45%にするというのでは、現状維持の域を出ず農業を見直そうという数値ではない」(北海道のJA)、「目標として45%はやむを得ないが、需要拡大の国民運動がない限り現状の40%すら維持できない」(静岡県の自治体)などが寄せられた。

 「目標値45%は実現できるか」との質問には、悲観的な見解が大半を占めた。全体では「むずかしい」と「まったく無理」を合わせると76.1%に達した。市町村では、「むずかしい」が51.1%、「まったく無理」が17.3%。JAでは「むずかしい」が34.6%、「まったく無理」が37.0%だった。 一方、「できると思う」は市町村で17.3%、JAで21.6%、全体では18.2%にとどまった。
この質問に対する回答率の傾向は市町村、JA、地域による違いはなく見解がほぼ一致、同センターでは「生産振興の決め手がつかめないという思いの反映」とみている。コメントには「実現のカギは消費者の理解にある」(山形県の自治体)、「1%上げるのも大変」(群馬県の自治体)、「できない数字を設定しても意味がない」(千葉県のJA)などがあった。

 農産物のセーフガードに関しては、「もっと臨機応変な対応を行うべき」が約半数の48.0%、「発動しやすくする努力が大事」が33.2%で、セーフガード発動を求める声は全体の8割を超えた。ただし、「発動を期待しにくい感触を強くした」も14%あった。コメントとしては「野菜の価格が安くなるのは消費者にとってありがたいことだが、日本の農業と農地を守るのはもはや農家任せでは限界」(岐阜県の自治体)、「輸入価格には勝てない。日本農業は崩壊する」(和歌山県のJA)などがあった。



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