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 系統の不良債権回収会社が発足 買い取りで処理を円滑化 夏ごろに営業開始(4/10)

 JAや信連から不良債権を買い取って回収する「系統債権管理回収機構株式会社」が10日、設立総会を開いて発足した。夏ごろには営業を始める。
 銀行などの不良債権を買い取る整理回収機構の農漁協版で、通称を「系統サービサー」とした。資本金5億円。JAグループなどの4団体が出資した。不良債権の発生は金融事業につきもの。それを管理・回収して処理を円滑化するための会社で、JAと信連、農林中金などの経営健全化をはかる。

 JAグループは、JAや信連の破たんを未然に防ぐ方策の整備を急ぎ、経営改善の困難なJAを隣接JAとの合併や、信連への事業譲渡などで処理する手法の確立を進めている。
 破たんJAの処理では、系統信用事業の安全網(セーフティーネット)である全国農協信用事業相互援助制度と農水産業協同組合貯金保険機構(貯保機構)が支援するという二重の仕組みがある。
 そうした際に、問題JAの不良債権を切り離し、受け皿のJAは健全債権だけを引き継ぐという円滑な処理方式が求められていた。
 新会社は、破たん処理を優先させる一方、財務の改善やJA合併の促進を目的とした不良債権の買い取りと管理・回収を代行する一般サービサー業務も行う。
 新会社の買い取り原資は貯保機構から調達する。また農林中金の貸出や、貯保機構の債務保証による貸出などもある。
 一般金融機関の回収機構と同じく「債権管理回収業に関する特別措置法」にもとづく会社で、役員には弁護士を一人以上加えなければならず、取り立てには暴力団員を使ってはならないなどの規制もある。
 また返済の滞った農家への小口融資を取り立てるような案件は持ち込まれない(JA全中)という。

 職員は13人。各県に営業所を置き、実質的な回収部隊は中央会や信連、信漁連の職員などで構成し、既存の民間の債権買取会社(11社)とも連携する。
 新会社は法的手続きを経て、早ければ6月にも営業を始めるが、初年度の買い取りは約12億円程度になるのではないかとみられる。
 株主は農林中金(出資比率約38%)を筆頭に、JA全農、JA共済連、全漁連の4者。
 役員は8人。社長は農林中金総合企画部長の河野良雄氏、常務は同副部長の豊本節雄氏、取締役は全中の森澤重雄氏ら、監査役は全農の加藤一郎氏ら。うち常勤は豊本常務と高村紘一監査役(全漁連)の2人だけで、あとは兼務の非常勤。
 本社は東京・大手町のJAビル内に置いた。



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