畜産農家の廃業が続いているが、その経営を引き継ぐ担い手が見つけにくいためJAグループは3月に経営継承支援事業の実施を決めたが、5月10日のJA全中理事会では、さらに、廃業に至る以前の経営指導を重視する経営改善対策の基本方針を決めた。これによると、関係JAは、畜産農家への与信状況を管理する部署を設け、また経営指導の専任として畜産経営診断士を計画的に養成することになる。
畜産農家の総合的な経営管理ができるようにJAの事業方式を見直す方針だ。
しかし新たに担当職員を増やせるようなJAの実態ではないため、対象農家を「債務超過者」とか「大口負債者」などに分類し、経営指導を重点的に行えるようにJAを支援する。
畜産経営は装備に多額の資金がかかる一方、輸入増加で販売価格は低迷続き。勢い赤字も多く、借金は雪だるま式という状況がみられる。近年は環境対策の設備投資を迫られている。
こうして主産地化が進む一方で、高齢者や小規模の経営を中心に廃業が続き、それを引き継ぐ担い手の確保も難しくなっている。
このためJAグループは平成12年度まで「畜産経営指導強化運動」を展開したが、これに替わって今年度から5年間は「JAグループ畜産経営改善・継承対策」に取り組む。
これによると、経営改善指導の対象農家には、JAグループとして、有利販売を含めた技術や資金管理を指導できる的確な事業方式を構築する方針だ。
また国の「畜産経営総合改善指導事業」施行を受けた相談活動を推進する。すでにある各種経営安定対策制度への加入も促す。
さらに必要があれば、JAが出資法人を設立して畜産経営に乗り出すという生産基盤の維持対策も打ち出した。
経営の継続が困難な農家を抱えたJAには県域の中央会や連合会と行政が協議会を設置して支援する。
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