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土地改良区が違法 自民党費肩代わり
農水省が返還を指導 (5/16)


 農家が負担金を出して、農業基盤整備事業をする土地改良区が自民党費を違法に立て替え払いしていたことが16日農水省の調べでわかった。自民党員である改良区理事の党費と、政治団体である土地改良政治連盟の会費を肩代わりしていたもので、昨年度まで5年間の不正支出は全国で合計4600万円余にのぼり、農水省は返還を求めるように各県を指導している。

 土地改良区は、ほ場整備などの事業費を国や地方公共団体の補助金と農家負担でまかなう。また事業完了後は農家への賦課金で農地を管理する。農家の加入や費用負担を強制できる公共法人で、土地改良法にもとづく。このため事業目的以外への支出はできない。
 農水省の調査によると、全国7137の改良区のうち、延べ1422区が5年間に総額約2270万円の自民党費を肩代わりしていた。また自民党にかかわる土地改良政治連盟の会費は約2200区が総額約2260万円を不正支出した。
 KSD(ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団)事件も加入者から集めたカネを理事者が勝手に自民党へ横流しをした背任のケースだが、土地改良区の場合は農村集落に強制力を持つ団体だけにKSDより、なお悪質だともいえそうだ。

 また自民党の票田である農村に国の補助金が手厚く流れているという都市住民の片寄った農業観を助長させかねない問題とされる。小泉内閣が構造改革をいうなら、自分の党内の腐敗面にもメスを入れるべきだとの声が強い。
 3月に共産党議員が国会で、この問題を取り上げ、谷津義男前農相は、改良区が特定政党の「政党活動を行うことは認められていない」と答弁し、農水省が都道府県を通じて過去5年間の調査をした。これに対して33県が実態を報告。
 これによると、党費または会費を肩代わりした改良区を15県で確認した。岐阜県だけが支出先を匿名としたが、あとは、すべて自民党費だった。
 党費、会費ともに不正支出が一番多かったのは栃木県だった。
 一方、国会質問によると、栃木県には自民党の土地改良支部があり、党費立て替えだけでなく各改良区に党員目標も割り当てていた。
 また新潟県のある改良区では自民党員である理事長ら4人の党費を10数年間も理事長の交際費から違法支出していた。



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