農水省が5月18日発表した「農業経営の管理に関する意向調査結果」によると、簿記会計の必要性を感じている農業者は87.4%で、「簿記会計を行う必要はない」とする農業者(24.1%)を大きく上回っている。
農水省は、効率的で安定的な農業経営を育成するためには認定農業者等経営意欲のある農業者が、生産者であるとともに経営者としての意識を持ち、自らの経営を客観的に分析し、経営手腕を十分に発揮することが重要としている。このため、簿記会計やこれを基にした経営診断等についての意向を把握し、農業者の経営管理能力の向上を図るための施策の検討資料にすることを目的に、今年2月〜3月に2000人の認定業者を対象に調査したもの(有効回答率98%)。調査結果の概要は次のとおり。
1.簿記会計については、「これまでも簿記会計を行っており、今後も行う必要がある」(49.4%)が最も高く、「これまで簿記会計を行っていないが、今後は行う必要がある」(38.0%)を合わせると9割程度の農業者が簿記会計を行うことが必要だと考えている。
2.簿記会計を行う理由は、「税務申告に利用するため」(45.5%)が最も高く、次いで「農業経営の収入と経費の内訳を明確にするため」(30.9%)、「財務分析等による経営診断を行い、農業経営に活用するため」(15.0%)、「家計費と営農費を明確に分離するため」(5.7%)の順。
3.簿記会計を基にした経営診断については、「これまで行っていないが、今後は行う必要がある」(53.2%)が最も高く、「これまでも行っており、今後も行う必要がある」(27.7%)を合わせると8割の農業者が経営診断を行うことが必要だとしている。「これまでも行っておらず、今後も行う必要がない」は17.4%、「これまで行ってきたが、今後は必要がない」は1.7%。
4.経営診断の活用法では、「経営状況の全般の把握」(63.8%)が6割を超え、次いで「生産原価を把握し、コスト削減の目標の明確化」(16.1%)、「経営作目の拡充、見直しや多角化等経営方針の決定」(13.4%)、「家族、従業員等のコスト意識の明確化」(3.2%)、「資金を借り受ける際の判断資料」(3.1%)などとなっている。
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