農水省統計情報部が5月31日発表した「平成12年産麦類生産費(農家調査)」によると、小麦の60kg当たり全算入生産費は9,065円となり、前年比7.9%減となった。概要は次のとおり。
1、小麦の全国平均生産費
12年産小麦の10a当たり生産費(副産物価額差引)は48,063円で、前年に比べ1.5%減少した。これに支払利子、支払地代を加えた支払利子・地代算入生産費は51,949円で、前年比1.1%減少した。これに自己資本利子、自作地地代を加えた資本利子・地代全額算入生産費(以下、全算入生産費)は62,359円で、前年に比べ1.6%減少した。
これを60kg当たりでみると、10a当たり収量が413kgと前年に比べ7.0%増加したことから、生産費(副産物価額類差引)は6,987円(前年比7.8%減)、支払利子・地代算入生産費は7,552円(同7.4%減)、全算入生産費は9,065円(同7.9%減)となった。
10a当たり生産費の主要費目の動向は次のとおり。
(1)賃借料及び料金−12,756円で前年比2.3%増加した。これは収量増加に伴う乾燥調整作業委託の増加による。
(2)農機具費−8,484円で、前年比62%減少した。これは作付規模拡大によるスケールメリット及び作業委託の進展による。
(3)肥料費−6,567円で、前年比1.7%増加した。これは良品質麦生産の推進により、たい肥・きゅう肥の施肥量が増加したことによる。
(4)労働費−9,997円で、前年比6.7%減少した。これは作付規模拡大によるスケールメリットにより10a当たりの投下労働時間が減少したことによる。
2、小麦作付規模別生産費
10a当たり善算入生産費を作付規模別にみると、「0.5ha未満層」の全算入生産費(94,238円)を100とした指数は、「0.5〜10ha層」が79、「1.0〜2.0ha層」が72、「2.0〜3.0ha層」が68、「3.0〜5.0ha層」が60、「5.0〜7.0ha層」が59、「7.0ha以上層」が62と、おおむね作付規模が大きくなるにつれて低下している。
3、小麦の収益性
(1)12年産小麦の10a当たり粗収益は62,783円で、前年に比べ3.2%増加した。これは収量の増加に伴う主産物価額の増加による。
(2)10a当たり所得は19,198円で、前年に比べ10.4%増加した。