農林年金の厚生年金への統合などにともなって昨年9月に設立された(株)パストラルの3月期決算が経常利益で計画を6.6%上回る1億3000万円の黒字となった。税引後の当期利益は4700万円で、配当も計画の3%を実現した。
同社は農林年金の委託で昨年11月1日から東京都港区のホテル「虎ノ門パストラル」と静岡県熱海市の旅館「南熱海パストラル」で営業を開始した。
5ヵ月間の売上高は、両施設で計26億8900万円と計画を7.5%上回った。しかし前年度実績には及ばなかった。
小橋暢之社長(JA全中前WTO対策室長)は「非常に苦しい経営を強いられたが、農林漁業団体などの支援で、計画通りの利益は確保できた」と語った。
また「今期は通年操業の第1年度にあたる。売上高60億円を目標に、経営基盤を築きたい。消費低迷の中で、新規事業では介護宿泊を秋から試験的に実施することを検討中だ。またパストラル利用者の裾野を広げるネットワークを育てたい」と明らかにした。
介護宿泊は、要介護の高齢者を婚礼に出席させたり観光をさせたいというニーズに応えるもの。ホテルの1部客室をヘルパーによるサービス付きとし、都内観光などにも付き添う。すでに都ホテルなどが実施しているが、パストラルでは大衆的料金を検討中だ。
ネットワークは、農林漁業団体を母体にした会社の特徴を活かすもの。首都圏の納入業者や関連企業、生協などの団体、学会などに呼びかけ、ホテルを都市と農山漁村の出会いの場とする「パストラル・ヒューマン・ビジネス・ネットワーク」を育て、地域起こし、ビジネスチャンスづくりに貢献するねらいだ。
いわば異業種交流会のようなもので、200社ほどに呼びかけて7月23日に立ち上げる予定。
同社は13日の第1回株主総会で決算などを承認。2期目の役員を再任した。
決算は売上高が虎ノ門25億円、南熱海が1億6800円。利用者数は宿泊が前年を上回ったが、集会などの日帰りが下回った。婚礼は件数が微増したが、小規模化傾向が続いている。