本紙「農業協同組合新聞」に連載小説『手のひらの伝記』を執筆している作家、簾内敬司氏(秋田県二ツ井町在住)が第49回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞することがこのほど決まった。
受賞対象となったのは、今年出版された『菅江真澄 みちのく漂流』(岩波書店/ホームページ「書評」および本紙3月30日号に書評掲載)。菅江真澄は、江戸時代の旅行家・民俗学者。三河生まれだが30歳で故郷を離れ旅を続けて東北に至る。簾内氏の作品は真澄の残した旅日記をもとにみちのく漂流の軌跡をたどり平成の今を考えたもの。
「真澄も200年前の世紀末を生きた人間。その力を借りてわれれれの足下の現代史の揺らぎを描こうとした。垣根を設けずに自由なスタイルで書こうと考えてきたが、エッセイという読まれ方もあるのかなと思っている。賞など考えたこともなくノミネートされていることも知らなかった。自分のテーマをこつこつと追ってきたがそういう地味な仕事に丁寧に目を向けてくれたと思います」。
授賞式は7月6日に日本記者クラブで行われる。