JACOM ---農業協同組合新聞/トップページへジャンプします

農政・農協ニュース

急傾斜地での取り組みが目立つ
中山間地直接支払いの12年度実施状況 (6/30)
農水省は、農業生産に不利な地域の農家に補助金を出す中山間地域等直接支払制度を昨年度から実施。6月末に、その状況をまとめたが、農政史上初めての制度とあって、対象となる地域を抱えた2158市町村のうち約2割が実施を見送るなど取り組み状況に差異が出た。交付金の総額は419億円となっている。
 交付金は、急傾斜地などにある1ヘクタール以上の1団の農地で、集落または個別の協定にもとづき農業を5年以上続ける農家や生産組織などに支払われた。
 集落協定数は2万5621となり、協定参加者数は約48万8800人。また個別協定数は498。
 面積では支払い対象見込み面積54万1000ヘクタールの約7割について協定が締結された。
 特徴としては、北海道では協定締結面積の95%が草地だが、都府県では田が約7割、畑が約2割となっているのが目立つ。
 中山間地域の田畑は急傾斜地4、緩傾斜地6の比率だが、協定締結面積では急傾斜地が田畑(採草放牧地を含む)の7割を占め、取り組みの中心が急傾斜地になっている。
 この制度は担い手の育成などによって耕作放棄を防ぎ、国土保全などの多面的機能を確保する趣旨だ。
 集落協定にもとづく耕作放棄の防止活動では「農地の法(のり)面点検」が8割と多く、次いで「賃借権設定・農作業の委託」となっている。多面的機能を確保する活動では「周辺林地の下草刈り」が約6割。
 なお農水省は協定による取り組み事例を挙げたが、うち3例を紹介する。
 岩手県D町では、旧町村単位で集落協定を結び、町内すべての対象農地を6つの協定でカバーしている。これにより、旧来の集落の範囲を超えた農地の利用調整や有機栽培の導入などが推進されている。
 大分県T市K地区では、8集落が1つの広域的な協定を結び、交付金の3分の2を農作業受託組合の育成や農産加工施設の整備などに当てている。
 三重県O村M集落は急傾斜農地が非常に多く、法面の管理が大変で、高齢化のため共同作業への参加が減っている。このため交付金の1部で自走式草刈り機の共同利用をしている。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp