JACOM ---農業協同組合新聞/トップページへジャンプします

農政・農協ニュース

親水景観づくりなど土地改良区の役割 多面化へ(7/2)
 土地改良区の役割が多様化した。これまでは、ほ場や水利施設など農業基盤の整備に限られていたが、今後は水に親しむ景観づくりなど「地域資源の管理」事業にも幅を広げる。これは前国会で改正された土地改良法に「環境との調和への配慮」が盛り込まれたことによる。
 従来は「農業生産性の向上」が目的だったが、改正法では土地改良区を▽自然と共生する田園環境の創造▽多面的機能の発揮という新たな目的に向けた管理体制の中に組み込む。
 これは農村が都市化し、混住化したためだ。市町村の役割も水や土や景観という地域資源を管理する関係で土地改良事業に一層幅広くかかわる。その場合、土地改良区に助成金を出す予算の一部は一般財源でまかなわれるため農家でない地域住民の負担も生じる。
 農水省はすでに国県がつくった土地改良施設を管理している土地改良区の体制を整備する新規事業を平成12年度から実施し、生活雑排水の受け入れや草刈り清掃作業など管理水準の向上に必要な費用の半分を助成している。
 今年度からは非農家が地域組織をつくって市町村行政に参画し、土地改良区と連携して地域資源を管理するという新たな管理体制を指導していく。
 また今年度は土地改良区の大規模合併を促進に役立つ整備補修対策を新たに実施し、3月末で7004区ある改良区を15年度には5690区に減らす統合目標を打ち出した。
 改良区の設立は水利が基本であるため都道府県の統合整備基本計画にもとづき水利系統・市町村単位を基本に合併を促進。事務の効率化や経費節減を図る。
 改良区はピークの昭和36年には約1万3000区あったが、その後、事業終了や施設管理の公営化と合併により大幅に減った。
 同事業による農業水利施設のストックは22兆円にのぼるが、老朽化も多い。今後の施設更新にあたっては多面的機能を発揮させるため▽親水と景観▽生活用水▽防火用水▽除雪用水などの機能も重視する。
 土地改良施設の維持管理費は国費ベースで今年度当初予算144億円。
 なお全国の土地改良区のうち延べ約1400区が5年間にわたって自民党費約2300万円を違法に立て替え払いしていたことが今春、発覚し、その後も続々と不正支出が明かるみに出て、農水省は返還を求めるよう各県を指導している。
 今後、同事業の性格が変わり、また改良区の統合が進めば、ずさんな経理を防ぐ条件となるが、いずれにしても市町村による監督の強化が求められる。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp