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農政・農協ニュース |
所得政策の内容には国民のメリットを盛り込むことなど 農業法人協会が提案(6/28) |
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(社)日本農業法人協会は6月28日の総会で、経営所得安定対策は「国民へのメリット」を明確にし、国民に説明できる内容とする必要がある、など「『国民』『経営』の視点からの農業政策の提案」を決めた。提案は「国民に『安心・信頼』される21世紀農業の創生を目指します」と題し、7本柱からなっている。
農業経営体の育成では、農業生産だけでなく加工・販売や交流などの「第2、3次産業」に加えて「生命総合産業」も育成の対象とすべきだと提案した。 生命総合産業とは同協会が独自に命名した幅広い産業分野で、農業の多面的機能である福祉、健康、教育など国民の「心と身体のふるさと」を創生する経営体を包括した言葉だ。 育成すべき農業経営体の要件には▽複式簿記・青色申告などの記帳と明確な経理▽経営責任の明確化▽経営の永続性などを挙げた。 生活者などとの提携では国民から支持されない産業は衰退するとして、経営所得安定対策の検討には、安心と信頼の視点が不可欠だとした。また継続的に取引している生活者などの出資の仕組みを活用しながら、農業のファンとサポーターをつくりたいという協会の方針も示した。 農業経営体の経営・財務体質の強化では(1)収益構造改善のためのベンチャー的取り組みの支援、(2)自己資本増強(内部留保)の仕組みの整備、(3)外部資本を調達するための仕組みの整備などを必要とした。 このため農業経営体の信用力を補完するシステムの整備や、生活者が農業経営体に出資する社債などの仕組みの活用を検討する必要があり、協会も主体的に取り組む方針を出した。 また売上額の一定割合を損金扱いとして積み立て、取り崩しの場合に圧縮記帳を認めるなど自己資本の蓄積を促進するための準備金制度を早急に構築することの必要性も挙げた。 経営者の養成では「経営責任」を重視した資質を養成し、分社化や、のれん分けなどの独立就農を支援する措置を体系的に整備する必要を提案した。 経営規模の拡大では昨年▽経営農地▽自給農地▽交流農地など農地の利用区分を提案したが、生活者の農業理解を進めるなどの視点からも思い切って農地法制度を見直し、「土地利用計画」にもとづく農地の利用区分と、利用の仕組みを構築することが不可欠であるとした。 また農産物の価格下落などにより、規模拡大のための農地取得や設備投資が相対的なコスト増や資金流出につながる例があるとして▽規模拡大の資金制度の充実▽収益に見合った適正な小作料水準の形成▽農地の面的な利用集積の促進施策を強化することなどによって規模拡大が過度な負担増にならないような仕組みを拡充する必要性を挙げた。 このほか、農業法人モデル経営体の設定と実証、WTO農業協定見直しに対する提案もした。 なお協会は、昨年も「21世紀わが国農業のビジョンと提案」を打ち出した。 |