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農政・農協ニュース

貸倒引当金積み増しなどペイオフ対策着実に
自己資本比率4%未満は30JA ―― 農水省(8/7)
 金融機関の健全性の目安となる自己資本比率が国内基準の4%を下回るJAが昨年よりも3増え、平成12事業年度末では30JAになったと7日、農水省が公表した。中でも昨年は10あった0%未満のうち9JAは改善されたものの、新たに今年は15JAが0%未満に落ち込んだため、このクラスは差し引き16に増えた。しかし0%以上4%未満は3減って14JAとなった。これは同省が都道府県を通じ、信用事業を行う全国1358JAについて調査した結果だ。
 JAの不良債権(リスク管理債権)は総額1兆2360億円で、デフレを伴う景気停滞の長期化から、11事業年度より1189億円増えた。
 貸出金が21兆9279億円と昨年より少し減っていることもあり、その中に占める不良債権の割合は、5.6%と0.5ポイント上がった。しかし全国銀行の6.6%、信金・信組の10.4%よりは低い。
 一方、JAは貸倒引当金を608億円積み増し、5208億円とした。これで不良債権に対する比率は42.1%となり、昨年より0.9ポイント向上した。これも全国銀行の35.5%、信金・信組の30%より高く、全体としてJA信用事業の安全性は高いとされる。来年4月のペイオフ解禁に向けた不良債権対応は着実に進んでいるといえそうだ。
 またJAの資産は2兆円増えて81兆円となり、その中に占める不良債権の比率は1.5%と、全国銀行の3.9%、信金・信組の5.5%よりも、ぐんと低く、健全性を示している。
 不良債権の内訳は▽破たん先債権1529億円▽延滞債権(回収の見込みがないとして未収利息を計上しないもの)6086億円▽3カ月以上延滞債権2638億円▽貸出条件緩和債権2107億円。
 JAの自己資本比率は、2%以上4%未満が昨年より2減って10JA、また0%以上2%未満が1減って4JAとなった。
 早期是正措置で4%未満(国際業務を行う金融機関は8%)の金融機関は経営改善計画などを作るよう求められ、最悪の場合は業務停止命令が出される。
 しかし昨年から引き続き0%未満の1JAは、改善計画を知事に認定され、増資や、JAグループの財務的支援で計画達成が確実視されている。また新たに0%未満に陥った15JAも計画を提出し、改善に取り組み中のため、いずれも業務停止命令は出ていない。
 なお農林中金・信連の場合は、不良債権の割合が総資産対比で1%、貸出金対比で4.1%と低く、また不良債権に対する貸倒引当金の割合は約48%と銀行などに比べてぐんと高い。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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