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農政・農協ニュース

自己資本の蓄積促進など
全国農業経営者協会が政策提言(8/20)
 農業経営の企業化を図っている全国農業経営者協会は、農政改革に向けた政策提言を20日まとめ、農水省に提出した。その中で、農業経営にとっても、自己資本の蓄積は急務になっているとして、経営基盤を強化するための準備金制度の創設を強く要請した。
 認定農業者など意欲ある担い手が、農業収入の一定割合を税制上の損金扱いとして積み立て、これを▽技術革新▽新たな市場開拓▽農地購入などの目的で取り崩した場合には、圧縮記帳を認めるようにする、などという提言だ。
 政府は、市場原理や国際化の進展に対応する経営政策の体系的な整備を検討しているが、この「自己資本蓄積促進対策」は「農業経営所得安定対策」と併せ、車の両輪として整備する必要がある、とした。
 宮澤兄一会長は「農業経営にも金額は少ないものの不良債務もあるし、農畜産物の輸入急増など、他産業と同じような問題を抱えている。積極的に経営を改善できるような制度を実現させたい」と語った。
 また担い手の不足する地域などで農地利用の受け手となっている特定農業法人について、同じ地域で複数の法人を認めるなどの制度改正と、特別融資や人材確保など新たな支援措置を創設することも要請した。
 同法人制度には、農用地利用集積準備金といった税制措置があるが、1区域1法人の実質的制限がある。しかし田畑、果樹、畜産と農地の利用形態は多様だ。
 このため複数の法人が連携して農地利用ができるように制度を改正し、さらに法人経営を確立させる支援が必要だと提言した。
 同協会は、農業経営の先行き不安が増大しているとして、政策提言を反映した農政改革に期待を寄せた。提言は5本柱からなる。
 国際化への対応では、農畜産物の輸入について国民の理解に基づく国境措置が必要とする一方、内外競争力格差を縮小する農業経営者の努力を支える抜本的な施策が必要とした。
 また中国、韓国からの輸入激増に対抗して日本の生産コストを引き下げるための生産資材の大幅値下げと流通改革の対策を求めた。
 消費者ニーズに対応する農業経営の確立という柱では、コメの生産調整について、極力、経営者の自主的判断に任せることができるように工夫していくこと、そのために麦、大豆、飼料作物などを本作として定着させることを提言した。
 同協会は農業経営者の全国組織で、技術革新や規模拡大を進めている。養鶏、養豚、稲作、肉用牛、観光農業の作目別組織と青年経営者組織、都府県の農業経営者組織を会員とし、各組織の構成員には法人も個人もいる。合計5万人余。稲作組織には個人が多い。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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