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農政・農協ニュース
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担い手への農地利用集積や法人化を加速 −−農業予算概算要求(8/31) |
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農水省は8月31日、財務省に提出した来年度の農林水産予算概算要求で、担い手への施策集中を鮮明に打ち出した。目玉の1つに地域農業構造改革緊急対策がある。これは来年から3年間で、担い手への農地利用集積と、法人の育成を加速的に進める対策だ。 これにより平成22年には、農地利用の6割程度にあたる282ヘクタールを担い手に集積する。 現状の集積は217万ヘクタール(12年度末見込み)で、現行の施策ベースなら53万ヘクタールの増加にとどまるが、新たな促進策の実施により3年間で12万ヘクタールの上乗せを図る。 法人は現在5273あって、年間150のベースで増えているが、この対策により2倍の約300に加速させる。そして22年には法人8000、生産組織2万2000、計3万になるという構造を展望した。 対策予算は310億円で新規と継続を含め8事業を実施する。うち継続の農地保有合理化促進事業の拡充分予算が大きい。 各事業をみると▽面的集積と作物別団地化の支援▽高性能機械の導入や加工・流通・販売部門に進出する農業法人への支援▽農業機械・施設のリース料助成▽高付加価値農業に取り組む「アグリチャレンジャー」の商品開発、技術開発の支援▽集落を1つの農場として、担い手を中心に2種兼業農家などが役割分担し、一括運営する体制をつくるモデル事業、などがある。 事業実施主体は都道府県市町村、JAなど。補助率は2分の1、定額、リース料の4分の1など。 概算要求の特徴をさらにみると、経営総合対策の創設があり、予算額は698億円と大きい。 これは農業経営の構造改革に取り組む経営体の支援関係事業を整理し、メニュー化して、現場段階で使いやすい事業に再構成した対策だ。自治体が作る地域農業マスタープランに基づき法人の設立や体質強化と、法人並みの高度な集落営農の支援などがある。 一方、制度資金は、農業近代化資金や農業改良資金などを見直し、担い手向けに再構築するが、融資枠は前年度と同水準だ。 新規では「農業法人投資育成株式会社」の設立がある。これは農業法人に出資して自己資本を充実させる新会社だ。農協系統と地方公共団体と農林漁業金融金庫が出資して設立する。国は地方公共団体の出資を補助する。 野菜の構造改革対策予算は前年度より大幅に増えて302億円となった。構造改革に努力する産地に施策を集中し、国際競争にも耐えうる体質の産地体制確立を支援する。 各産地で戦略を選ぶが、例えばネギ生産で低コスト型を選択した場合、小売価格を輸入品の約3割高まで下げる目標を掲げ、コスト削減に取り組む。現状の小売価格は約2倍だ。 また、セーフガード暫定発動品目に加えて監視品目を主対象にした特別対策も創設した。補助率は定額を含め5分類となっている。 「むらづくり維新」と名づけた農山漁村の振興施策もある。地域全体の振興計画に沿って生活環境、生産、情報通信などの基盤を、地域の選択に応じて総合的に整備し、循環型社会を目ざす。予算額181億円。 なお農林水産予算要求総額は3兆5374億円。うち通常分は公共事業費の4.3%削減などで前年度比2.9%削減となったが、構造改革特別要求2362億円を加えると4%増だ。しかし、特別要求には予定施策があり、経済財政諮問会議などで調整される。 |