JA全中は8月29日に第1回女性組織活性化検討委員会を開催した。同委員会は、昨年のJA全国大会決議で示された「JA運営への女性参画」、「目的別組織化による組合員組織の活性化」の方針に基づき、女性組織の活性化の具体策を検討するために設置されたもの。昭和33年には344万人だったメンバーが現在は126万人。14年後にはゼロになるとの試算もある。
会合では女性組織の現状をふまえ、組織の位置づけ、活性化のポイントなどをめぐって話し合った。委員会では議論をもとに報告書をまとめ、それをもとに組織協議に入る。
この日の会合では、委員長に兵庫県中央会の山田昭二専務理事を選んだのち、事務局が女性組織の現状と活性化の方策案を説明した。
JA全中の調査(JA女性組織活動実態調査 全組織数1170、調査回答組織851)では、昭和33年に344万人でピークを迎えたJA女性組織は、その後、メンバーが減少し続け、最近では年間10万人単位で減っている。過去3年間で、メンバーが減少していると回答した単位組織は92.2%と圧倒的に多い。このままのスピードが続くと14年後にはゼロになるという。
ただし、58組織では増加しており、その理由は「未組織集落に支部ができた」、「非農家が加入」、「フレッシュミズの加入」、「JAの役職員が加入推進した」が多くなっている。
◆高齢化とメンバーの多様化すすむ
年齢構成は60歳代38.1%、50歳代32.5%で、40歳代は20.0%、30歳代は7.6%となっている。平成元年の調査では60歳代は20%で、40歳代が27.0%、30歳代も15.3%を占めており、年齢構成の山が着実に高齢化しているのが実態だ。メンバーの家庭と農業との関係では、兼業農家がもっとも多く50.2%を占め、専業農家は33.9%、非農家は15.9%となっている。ただ、メンバーのすべてが専業農家の組織も80組織ある。
家事・育児・農業以外の仕事の有無では「している」との回答全体で49.7%。仕事の形態は、20歳代以下では「常勤・正社員」、30歳代〜50歳代では「パートタイム勤務」、60歳代以上では「自営」がもっとも多い。
JA合併による女性組織への影響では、合併で「良くなった点」として「他の支部のメンバーとの付き合いによって交流が深まった」、「他の支部を知ることによって役員の視野が広まった」の二つが上位に上がった。逆に「悪くなった点」としては「日常的には旧JA単位なので仲間の広がりや組織力を実感できない」、「合併を機に解散した支部がある」、「組織規模の拡大のため運営や決定に時間がかかる」などが上がっている。
活性化のための活動の中心をどこに置くべきかとの質問には「集落単位の活動」が60.2%ともっとも多く、ついで「本店での全体活動」42.1%、「隣近所の班活動」23.3%となった。
◆9割が活動を有意義と評価 JAトップの理解も不可欠
今回の調査では、メンバーの90%が女性組織の活動を有意義だと評価していることが明らかになった。ただし、理由は「いろいろな勉強ができる」、「親睦になる」など項目が60%以上の支持で、「地域に貢献できる」、「女性の地位向上に取り組んでいる」は10%程度と学習、仲間づくりの場として意義を認めている傾向が伺える。また、意義を感じないとした理由としては「活動が変わりばえしない」、「役員の負担感」、「参加を強要される」などが上がった。
一方、JAトップ層への意識調査(803JAが回答)では、女性組織を「評価している」との回答が96.4%を占めた。理由は「JAの事業・活動に貢献している」、「地域の活性化に貢献している」の順に多い。逆に評価していないJAトップ層の理由も「JAの事業・活動に貢献していない」「地域の活性化に貢献していない」となった。
女性組織の位置づけについては「組合員組織として活動」との認識が43.0%、「自主的組織として活動」が39.8%、「事業や活動より親睦組織の機能が主」が18.6%だった。
こうした実態調査を受けて、事務局からは活性化策として、「組合員組織としての位置づけ」、「実利・実益・楽しさのある活動をめざす」、「メンバーの自主性の発揮」、「民主的な運営」、他団体との連携など「開かれた組織」などについて検討していく方向が示された。
委員会では、「JAの事業をマーケティングの観点で考えることが必要。総合事業展開をするうえで女性の心をつかむことがJAの課題になる」、「親睦に意義を見い出しているレベルから事業のレベルで有意義だと感じられる活動が必要」、「女性の正組合員化も含め、女性組織を組合員組織としてきちんと位置づけるべき」などの意見が出た。9月20日の会合で報告書をまとめ、JA全国女性協会長会議で報告後、10月の全中理事会で組織協議案を決定する
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平成13年度
JA女性組織活動実態調査
(中間集計) |
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平成13年度
JA女性組織に関するトップ層意識調査
(中間集計) |