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農政・農協ニュース

備蓄水準の縮減を
−−備蓄運営研究会が中間報告(8/29)

 食糧庁の備蓄運営研究会(今村奈良臣座長)は8月29日に第6回会合を開き中間報告をまとめた。
 米の備蓄は供給不足に備えるため制度として食糧法施行とともに導入された。しかし、これまでに財政負担の増加、自主流通米価格への影響などの問題が生じていることから研究会では今後の備蓄運営のあり方について検討してきた。

 議論の焦点のひとつとなったのが、これまでどおり備蓄に需給調整機能を持たせるかどうか。JAグループなど農業団体委員は、備蓄が豊作時の需給調整機能を果たしてきており、現在、この機能を担う他の仕組みがない以上、今後も需給調整機能を維持するべきだと主張してきた。これに対して他の委員には、備蓄制度は本来消費者対策であり、豊作時の対応は生産抑制によるべきだなどとの意見があった。このため中間報告では「引き続き慎重に検討すべき」と今後の議論に委ねた。

 そのうえで現在の運営を大きく見直すべきと報告した点は、備蓄数量を判断すべき時期。これまでは米穀年度末の10月末としているが、実際には収穫期が早まり10月末以前にすでに新米が大量に供給されている。また、需給がひっ迫すると安定供給がもっとも心配されるのは7月〜8月だが、その時期の在庫見通しと必要量が明らかにならない。こうしたことから備蓄数量を判断すべき時期を「端境期直前」とすべきだと報告している。備蓄方式についてはコストの問題などから今後とも「回転備蓄方式」が必要とした。

 また、備蓄水準については現在の150万トン、プラスマイナス50万トンの水準を縮減すべきであるとした。現在の水準は、総需要量1000万トンとして戦後不作の平均から割り出した。しかし、豊作傾向で在庫が積み上がったことから農水省は年間の供給必要量を877万トンとして備蓄水準の試算値を研究会に示している。
 それによると、10年に一度の不作(作況92)で、100万〜115万トン、通常の不作(作況94)の2年連続で86万〜101万トン、端境期に政府米以外の供給ができないケースで126万〜131万トンと、いずれも現在の水準よりも下回った。なお、水準を縮減した場合でも「幅」を設定するかどうかについては、需給調整対策全体のあり方などと関連づけながら検討すべきであるとした。

 そのほか、政府の買い入れにあたっては自主流通米価格を一層反映したあり方を検討することや、売り渡しについては、入札取引参加の是非について検討すべきであるとした。また、計画流通制度についても、(1)計画流通米が負担しているコストと計画外流通米が背負っているリスクの検証、(2)将来の米流通のあるべき方向との関連を整理しながら検証すべきであると報告した。
 同研究会は、年末に2回開催され最終報告をまとめる。
 


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