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農政・農協ニュース

月齢30カ月未満の出荷予定牛も検査
 農水省が緊急対策 (9/19)

 厚生労働省は、狂牛病対策として2歳半(月齢30カ月)以上の牛約100万頭を全部検査する方針を決めた。しかし、これには約1カ月の準備期間が必要だ。その間に出荷される牛をどうするかなどで農水省は19日、緊急対策の枠組みをまとめ、あと約1カ月で月齢が30カ月に達する牛の出荷を延期するよう都道府県などに指示した。

 これは厚労省の検査体制が整うまで、自主的にと畜場への出荷を繰り延べるよう生産者に要請するもので、出荷停止の措置ではないという(畜産企画課)。
 しかし、家畜保健衛生所の職員が出荷予定の牛がいる農場を立ち入り検査して協力を求め、厚労省による新たな検査を受ける牛の範囲を広げて、消費者への安全シグナルを強める。
 時期のきた牛を抱えた生産者は約1カ月間出荷を我慢することになるが、これによりエサ代負担などで経営が困難となる肉用牛農家に対しては緊急融資を実施する。金利は近代化資金なみが見込まれる。
 一方、疑似狂牛病の牛が見つかった千葉の農場と、導入元である北海道の農場にいる同居牛合計120頭(うち北海道71頭)は全部買い上げて解体、検査のあと焼却するという緊急の川上対策も立てた。
 通常なら、牛の骨や臓器はレンダリング工場で肉骨粉にした後、配合飼料に混ぜるが、騒ぎのあとは飼料メーカーが肉骨粉を買わなくなった。
 しかし、肉骨粉は作り続ける必要がある。と畜場では残さ処理ができないためだ。と畜の減少が食肉の需給失調を招かないように、とりあえず残さを肉骨粉にして焼却する。このため、緊急対策にはレンダリング業者のコスト支援も盛り込んだ。
 国産牛肉の消費減退や出荷繰り延べの影響は、生産者とレンダリング業者だけでなく卸・小売業者、食肉加工業者などにも及ぶ。このため緊急対策は、これらの業者にも弾力的に利子補給などの融資を実施する。
 農水省は、これらの予算を補正予算で措置する。
 なお厚労省の対策本部が19日正式決定した約100万頭の検査方針はEUなみの基準による。
 EUでは月齢30カ月以上の牛に発症があるとし、すべての牛を検査対象としている。検査費は30億円の見込み。今年度内に50万頭を検査する。
 これまでと違って5時間程度で判定できるイライザーテストという検査方法を導入するため都道府県への説明や検査員の研修に約一ヵ月はかかるという。

◆狂牛病問題の経過を近くまとめる
 −−熊沢農水事務次官

 熊沢英昭農水事務次官は狂牛病対策などについて19日、「国民に不安を与えないよう今後とも積極的に情報を提供する」と次のように語った。

 国際的な科学的知見に基づく安全性を訴えるため11日には関係157団体代表への説明会を開き、また「Q&A」を作って配るなどしている。こうした情報提供を強めたい。
 それと併せて、狂牛病疑似牛の導入経路や、その牛を原料とする配合飼料の流通経路を近いうちにとりまとめ、発表する。
 すでに都道府県の家畜保健衛生所の検査員を動員して、450万頭を対象に外形症状から神経症状の有無を調べる検査を進め、今月中にも検査を終わる。
 神経症状の出た牛は焼却する方針だが、今のところ報告はきていない。
 緊急対策による出荷繰り延べは強制ではない。出荷という通常の経済活動を強制的に停止させることはできない。出荷繰り延べに理解と協力を求めていく。
 平成14年度の畜産物価格決定は重要案件なので諸般の事情を踏まえて慎重に対応していきたい。

 なお、次官は記者の質問に答え、稲作経営安定対策から副業的農家をはずすという問題について「いろいろな論点を提起し、検討しており、その中に副業的農家の取扱いも含まれている」と答えた。



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