農水省は狂牛病の感染源とされる肉骨粉の製造、販売、使用を法的に禁止する方針を決めた。10月中旬までに飼料安全法の省令を改正し、違反者には30万円以下の罰金か、3年以下の懲役を科す。9日の農業資材審議会飼料分科会で、方針を了承した。
現在は罰則のない行政指導で一時停止しているが、国民の不安感を解消するため法的規制に移す。
家畜用飼料として禁止されるのは牛、豚、鶏、魚介類を原料とするたんぱく質だ。乳・乳製品、卵・卵製品などのたん白質は除外。また、肥料やペットフード用は規制対象からはずす。
しかしペットフードを意図的に家畜に与えた場合は、飼料として使用したものとした罰則の対象となる。
一方、感染の危険がある脳、眼球、せき髄など牛の危険部位は、いったん肉骨粉にしたあと焼却しているが、そのコストは実質的に国が全額負担する方針だ。
これまでは国が3分の2、都道府県が3分の1を負担する方向だったが、この自治体負担分も「地方交付税で処理する」と遠藤武彦副大臣が9日の記者会見で明らかにした。
さらに坂口力厚労相は同日の国会答弁で、食肉として解体する牛は全頭を検査する方針を言明した。
現在は生後2年半以上の全頭と、生後2年以上で神経症状がある牛を検査対象としているが、症状がなくても、と畜牛はすべて検査対象としていく方針だ。
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狂牛病対策は、各省庁にまたがる措置を必要とするため政府は10日、7省担当の副大臣からなる「牛海綿状脳症(BSE)関係副大臣プロジェクトチーム」を設け、農水、厚生労働、総務、財務、文部科学、経済産業、環境の副大臣で第1回会合を開いた。
会合では、18日から始まる全頭検査を当面の課題として、スムースな実施を図ることを決めた。
また、と畜場から出る危険部位を肉骨粉にして焼却する体制を各省庁が協力して進めることを確認した。
これらにともなって関係業者を支援する対策は、中小企業庁と農水省がすでに実施しているが、他省でも進める。
学校給食対策では牛肉使用の自粛撤回を促すため、自治体が安全情報を十分に提供できるようにする。安全宣言は18日を念頭において、どういう形にするか検討する。
同チームの第2回会合の日取りは追って決める。