国際協同組合同盟(ICA)は16日、韓国のソウルで総会を開き、JA全中の原田睦民会長は、アジア地域の協同組合を代表して祝辞を述べ、その中で「行き過ぎた自由貿易によって農業の多面的機能や伝統文化など次世代へ引き継ぐべき大切なものを、我々の時代で失ってはならない」と訴えた。
開会式ではキム・デジュン韓国大統領が来賓あいさつで「韓国経済の発展は協同組合、特に農協の果たした役割を抜きにしては語れない」と述べた。
また世界貿易機関(WTO)の次期事務局長であるスパチャイ・タイ前副首相は「国際貿易を通じた世界平和、WTOの役割」と題した基調講演で「多くの途上国が農産物貿易に積極的であり、シェアを伸ばしている」と自由貿易を評価する立場を明らかにした。
タイはコメの輸出国であり、オーストラリアやニュージーランドなど農産物輸出国14ヵ国からなるケアンズグループの一員だ。
日本が主張している農業の多面的機能など貿易以外の関心事項についても、スパチャイ氏は「様々な主張がある」とし、WTO農業交渉では、輸出補助金の撤廃か、段階的削減か、が焦点になるとした。
次いで原田JA全中会長が祝辞を述べ「企業や団体が競争して利益だけを追求するのではなく、共生と共存によって利益を分かち合う方向へ進んでいかなければならない」と強調した。
翌17日は▽食品の安全▽協同組合の利点▽民主主義と平和、などの特別決議を採択した。
役員選出では、原田会長が理事(15人)の一人に選ばれた。ICA会長にはイタリア協同組合同盟のイバノ・バルベリーニ会長が信任された。監査管理委員(5人)の一人は日生協の竹本成徳会長。
ICAは世界100カ国の協同組合全国組織約250団体からなる世界最大規模の民間組織(NGO)で傘下組合員は7億6000万人を超える。日本ではJAグループの全国組織のほか日生協、全漁連、全森連、全労済、日本労協連の11団体が加盟している。