武部勤農相は26日の記者会見で、ネギなど3品目の緊急輸入制限措置(セーフガード)を本発動に切り換えることは、当面見合わせ、「粘り強く中国と協議し、話合い解決を図る」との方針を重ねて言明した。これは小泉純一郎首相と江沢民国家首席の合意にもとづくもので、25日開いた農水、経産、財務、外務の各大臣と官房長官による関係閣僚会議でも、政治決着の方針で一致した。
しかし、日中協議は再開の目途が立っていないため暫定発動(200日間)の期間が終わる11月8日以降は、措置の空白となり、再び制限品目の輸入が急増する恐れがある。
一方、熊沢英明農水事務次官は「本発動に移るかどうかの判断の基礎となるのは政府調査による主要指標だ」と説明する。この調査期間は12月21日で、政府はそれまでに日中合意に達したい意向だ。
調査は現在、農水、経産両省で最終的に取りまとめ中だが、武部農相は、そのうち特に「輸入量の推移や輸入による国内の損害額などの主要指標だけは、今月中に公表する」と語った。
熊沢次官は「まず日中の政府間協議を早く再開させる必要がある」としており外務省では24日、中国の駐日大使に「早急に協議を始めたい」と申し入れた。
なお、ネギ、生シイタケ、畳表(イグサ)の輸入に対するセーフガードの暫定発動は4月23日に実施。中国はこれに報復して6月22日から日本製の自動車、携帯電話、空調機に特別関税100%を課している。本発動に移行すれば報復措置が、さらに強化される可能性もある。