副業的農家を稲作経営安定対策から除外するという食糧庁案の撤回などを求めてJA全中は11月1日、東京都内で「米政策確立・セーフガード本格発動実現・全国代表者集会」を開き、代表約500人が各地元選出の国会議員などへの働きかけを強め、特別運動を盛り上げていくことを確認した。
また、食糧庁の「抜本的見直し」を来年産から実施することを見送るようにと求め、さらに来年産対策は現行を基本に決めることなどの重点要請を決めた。
一方、セーフガードについては、日中協議に全力を尽くすとともに(暫定措置期限の)8日までに実効ある輸入抑制措置が講じられなければWTOルールに基づき、正当に認められた権利として(3品目につき)すみやかに本格発動するようにと強く要請した。
集会には自民党から総合農政調査会の堀之内久男会長、同会農業基本政策小委員会の松岡利勝委員長、農林水産物貿易調査会の赤城徳彦事務局長が出席し、要請を生かしていくと約束。また地元選出議員への働きかけを強めるようにと激励し、諸課題も挙げた。
その中で堀之内会長は「来年産対策は現行を基本にしたい」と述べ、また松岡委員長は、副業的農家の除外案はなくなるものと考えてよい、と語った。
食糧庁の見直し案をめぐる10月中旬の意見交換会では「副業農家除外」に対し、「集落ぐるみで取り組んでいる生産調整を壊すものであり、断固反対」などの声が噴出した。
これに関連して1日の集会では、転作面積の約46%は、経営規模1ヘクタール未満の稲作農家が担っており、生産調整に果たす副業的農家の役割は大きいという構造実態を強調した。そして食糧庁案は、構造改革の予算確保のみにとらわれたもので、生産現場の理解は得られないとした。
また生産調整をしない農家や計画外流通米の出荷者は、過剰米を発生させながら、その処理費などを計画米生産者の負担に任せ、価格回復の恩恵だけは受けるという“タダ乗り”をしているが、食糧庁案は、そうした不公平感の解消に全く応えていないとの声も紹介(意見交換会から)。
計画流通米出荷者の負担は、調整保管費や基金拠出金などで60kg当たり2780円となるが、計画外米出荷者は、流通経費1200円のみの負担にとどまるとの試算を示した。しかし、計画米出荷者には稲経の補てん金があるため実際の負担はこれより少ない。
重点要請は、このほか▽コメ政策見直しは、生産数量を配分する行政の役割、過剰米対策、公平性の確保を前提に、15年産以降の実施を検討すること▽政府備蓄水準の引き下げは生産調整と関係させず、国の責任で処理すること、など。
来年産は、すでに麦の種まきや水稲種子の準備に入っており、今からの「見直し」は余りにも性急すぎるため、中長期的な構造改革の課題とは切り離すべきだと要請した。
一方、セーフガードでは「実効ある輸入抑制措置がないまま(8日以降)本格発動がなされず、空白期間が生ずる事態になれば、再び輸入が急増し、価格の急落で、産地は崩壊の危機にひんすることになる」として「国内産地の構造改革に必要な猶予期間を確保すべく」「ネギ、生シイタケ、畳表について、すみやかにセーフガードを本格発動するよう強く要請する」となっている。