米政策の抜本的な見直しを検討している農水省は、11月1日に開かれた自民党農業基本政策小委員会に計画流通制度の見直し案を示した。
米の流通制度は、食糧法により計画流通米と計画外流通米に区分、計画流通米についてのみ流通ルートの特定と業者登録などの規制を行っている。
しかし、計画流通米のシェアは6年産が収穫量対比で62%だったのが12年産では51%までに低下している。その要因として、農水省は、複雑な流通ルートや多段階流通などの制度上の規制が計画流通米の競争力を阻害し、計画流通米に対する“メリット感”が失われてきたと指摘。
さらに、無登録業者による銘柄ごまかし販売などによる米流通の混乱も起きていることから、同省は、計画流通米のみに規制を課すことで米穀の需給・価格安定を図る手法はできないと判断した。
そのうえで、同案では、(1)公平な競争を軸とした流通の活性化、(2)米流通の効率化促進、(3)流通のコストダウン、により農家手取りの確保を図る制度をつくる必要があるとした。
具体的には、(1)業者登録制度は、公平性確保などの観点から対象者を拡大する。
(2)自主流通法人を改組して需給管理協力者としての安定供給法人(仮称)とし、その業務を需給調整に関連した業務に特化。現在実施している自主流通計画の作成など規制的部分は大幅に緩和する。なお、この安定供給法人は稲作経営安定対策や需給調整助成の対象にするとしている。
そのほか、業者登録の有効期間の延長、業者区分の簡素化、流通ルートの特定の廃止など、米流通に関わる規制の廃止や大幅な緩和を行う方針を打ち出している。
食糧法は、計画流通米が米流通の“太宗”を占めることを想定してスタート。その流通ルートだけを特定すれば、需給と価格の安定を図ることができると考えられていた。今回の見直し案は、その手法による需給と価格の安定化は「もはや限界に達している」として制度の破綻を認めた。今後、新たな制度を作り上げるうえでは、なぜ破綻したのか、その原因を十分に検討する必要がある。