日本学術会議(吉川弘之会長)は11月1日、武部農相に農業と森林の多面的機能の評価について答申した。
これによると、水田の洪水防止機能を従来より約6000億円高い3兆4988億円と評価。そのほか水資源涵養機能1兆5170億円、土壌浸食防止機能3318億円とし、いずれも従来より評価額は上昇。現在建設中の治水ダムの建設単価から見直したため。なかでも土砂崩壊防止機能は従来の3倍の4782億円と評価した。
答申では、食料を輸入に依存すれば多面的機能を失い、他方で輸出国の環境破壊を促進すると指摘。世界の農林業と森林の適正な配置構想と「新たな貿易政策の確立が望まれる」としている。昨年12月の武部農相の諮問に答えたもの。