系統信用事業はIT(情報技術)戦略の第一弾として11月19日から、インターネットを使った「JAネットバンク」の個人取引サービスを新たに33道府県で開始する。また26日からは内部情報を共有化する「JAバンクイントラネットシステム」を稼働し、JA・信連・農林中金の一体的な業務運営を展開する。
「JAネットバンク」によって、JAと信連に口座があれば、パソコンと携帯電話を使って残高照会、入出金明細照会、振込・振替などができるようになる。いま契約者を増やす運動を進めている。
24時間365日、いつでも利用できるのが特徴だが、一部の県ではフルタイムでない場合もある。
すでに、東京、静岡、愛知、和歌山、広島の5都県のJAと信連がネットサービスを独自に提供しているが、19日からは北海道、千葉など33道府県が共通の「系統インターネットバンキング(モバイルバンキング)システム」でネット業務を始める。
これでネットバンキングは合計38都道府県に広がるが、東京以外の先行4県も今回の開始に合わせ、使用できる携帯電話に「J‐スカイ」と「EZweb」を追加し、サービスを向上させる。
独自サービスのある東京を除くと、共通システムによるサービスは37都府県の956JAと36信連で行われることになる。
残りのJAと信連も、システム更改のあと、順次、サービスを開始して、平成15年3月までには、ほぼ全JA・信連の足並みがそろう予定。愛称は「JAネットバンク」とした。
今後は、使用できる携帯電話の種類を増やしたり、サービスの提供項目を拡充していく。当面、使用できる携帯電話は、iモード、J‐スカイ、EZwebに対応する機種だ。
利用料金はJAと信連によって異なり、それぞれ画面に表示されるが、銀行などでは基本料金の無料が多い。このため系統の場合も当面は、これに習うところが多くなりそうだ。
なおインターネットバンキング・モバイルバンキングは都銀が先行し、地銀がこれに続き、信金と農林系統は遅れていた。しかし全体として24時間対応の金融機関は、まだ2割弱であり、この点ではJAバンクが先行することになる。
都銀などは「(店舗は)遠くても(取引は)便利」の戦略で、不採算店舗を統廃合するなどのリストラと表裏一体でネットサービスを強化している。
また、携帯電話の利用率は若年層で高く、非対面取引を望む傾向も強い。それにインターネット利用者のアクセスは深夜に集中している。こうした背景からも24時間ネットバンキングによる若年層の取り込みは系統の課題だった。
◇ ◇
系統は「JAバンクイントラネットシステム」(組織内情報システム)の構築にも取り組んできた。26日から稼働する。
全国的な信用事業の企業内コンピュータ・ネット・ワーク(LAN)の基幹システムだ。必要なデータの取り出しやメール送信などが簡単な操作となり、業務がぐんと効率化する。
機能は、電子掲示板、電子メール、文書データベータを装備した。
当初の参加組織は、46信連、1県1JAの奈良県農協、JASTEM(農協系統信用システム共同運営梶j、全国信連協会、農林中金で、情報を共有し、JAバンクとして一体的な業務運営を展開する。
来年度中には全JAの参加を予定。今後も機能を順次追加し、JAバンク全体としての情報装備や一体的業務運営の強化を図る。
◇ ◇
このほか公共料金や税金などをATM、パソコン、電話で支払うマルチペイメントネットワークシステムの来春実施を総務省などが進めているため、これへの対応体制も整えている。
同システム推進のため同省と富士銀行、NTTデータを中心にした協議会があり、農林中金が系統を代表して参加している。