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農政・農協ニュース

新たな農協金融システム構築へ
JAバンクシステムの自主ルールを7日決定 (11/27)

 JA、信連、農林中金が実質的に1つの金融機関として、より高度な金融サービスを提供する「JAバンク」システムの基本方針(自主ルール)が12月7日の農林中金臨時総代会で決まる。これにより新たな農協金融システムの構築が本格化する。JAバンクへの信頼感を確保する方針では、JAの破たんを未然に防ぐ安全網(セーフティネット)として「指定支援法人」の設置などを自主ルールの中に盛り込む。
 指定支援法人は、問題のあるJAが経営改善や、事業譲渡、または隣接JAと合併するときに、資本注入や資金援助をする。設置は来年になる見込み。
 現在は、JAと信連と農林中金による積立金の運用益で、問題JAを援助する相互援助制度があるが、うち農林中金の積立金は、新たに造成される指定支援法人の基金に移す。またJAと信連も、この基金に別途の積み立てをする。
 こうしてセーフティネットを農林水産業協同組合貯金保険制度と合わせて三重にする。指定支援法人(基金)は『信用事業新法(JAバンク法)に基づく。
 また自主ルールには、JAの破たんを未然に防ぐ具体的運用手法も盛り込む。
 農林中金は先に「JAバンク中央本部」を発足させたが、自主ルールでは、この中央本部と都道府県本部(信連)が、個々のJAの業務体制や財務状況などをチェック(モニタリング)する。その際の手順や、JAに提出を求める資料の種類などを明示する。
 さらに▽問題JAに対する資産精査のあり方▽経営改善の指導内容▽合併、事業譲渡する場合の基準▽支援のあり方、なども示す。これらは、過去の破たん事例からの教訓を踏まえてまとめたという。

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  相援制度や貯保機構による援助額が最も多額だったのは、昭和62年の旧鹿児島市農協の破たんだった。一時は毎年30億円の外部支援が約20年間必要とされたが、系統をあげて信用秩序の維持を図り、解決までの期間を短縮した。
 原因は、農協法と定款の違反による不正貸付が回収不能に陥ったことなどだ。
 次いで平成12年に長崎市農協が、バブル期に拡大した不動産業などへの貸出が不良化した事件があり、約15億円を支援した。
 これらは▽経営内容が十分に開示されないため実態把握が進まなかった▽ワンマン体制のため行政検査と中央会監査の指摘にもかかわらず、改善が進まなかった、と総括されている。
 最近ではJA日生(ひなせ)の破たんがある。内航海運業などへの貸出が不良化。債務超過額は最終的に316億円になる見通し。来年1月にJA岡山信連に信用事業の全部を事業譲渡し、また共済契約をJA共済連に包括移転する。
 一方、農水省調査によると、全国1358JAのうち、12年事業年度末で自己資本比率が4%未満のJAは30あり、うち0%未満の債務超過JAは、16JAとなっている。
 しかし計画的な増資や系統からの財務的支援など計画達成が見込まれていることから、業務停止命令は出ていない。
 JAバンクとしては、自主ルールによって、今年度中に30JAの支援・処理を済ませ、ペイオフが解禁となる来年4月には経営困難なJAをなくす方針だ。
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 自主ルールの骨子案によると、JAバンクシステムの基本的方向は(1)JAバンクとして機能することにより、良質な金融サービスの提供と、利用者の利便向上に取り組む(2)全体の経営資源(システム、資金など)を効率的に活用することにより“共同運用の果実”を享受する(3)経営問題を早期発見して改善に取り組むとともに、実効性のある破たん未然防止策を確立し、全体の信頼性向上を図る(4)指定支援法人に基金を設定し問題発生時に必要な支援を行い、JAバンクの信頼性を確保する、の4点。
 JAバンク会員(JAと信連)は、基本方針に基づく農林中金の指導を守らない場合、勧告・警告を受ける。それでも改善が認められない場合には、会員からの強制脱退など必要なペナルティもある。
 なお、信用事業新法は来年1月1日施行される。正式名称は「農林中央金庫及び特定農業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律」。



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