政府は、昨年12月24日の臨時閣議で平成14年度の予算案を決めた。
農林水産予算は、3兆1905億年で前年比6.2%の減少となった。
このうち公共事業費は1兆5056億円で前年比13.5%の減。一方、非公共事業は1兆6849億円で前年比1.5%増えた。このうち一般政策経費でみると前年比4.1%伸びて1兆5587億円となった。公共事業から非公共事業へシフトされた恰好だが、農林水産予算額全体としては大きく削減された。
14年度予算案のうち新規事項は、総合的な経営対策の推進、BSE問題に対応した安全確保対策、野菜の構造改革になどに重点が置かれている。
「地域農業構造改革緊急対策」は、14年度からの3カ年で担い手への農地集積と法人育成と集落営農の新たな確立を加速させる。予算額は54億円で、前年度の6億円から大幅に増額させた。
農水省は平成22年度に、家族経営33〜37万、法人・生産組織3〜4万の経営体に農地利用の6割程度(282万ヘクタール)を集積させる構造展望を実現させたいとしている。そのため、3年間実施する同対策で農地利用集積を12万ヘクタール上乗せ(現行施策ベースでは53万ヘクタール)して集積し、法人育成も現行ベース年間150法人を2倍に加速することを見込んでいる。
そのほか、担い手の確保・支援、法人化支援、女性・高齢者対策などの農業者の主体的な取り組みを支援する経営総合対策を創設する(464億円)。
また、安心・安全な食料供給を推進するため、牛肉のトレーサビリティの構築に向けて家畜個体識別情報活用促進事業に2億5000万円を確保。出生地・肥育地の情報のほか、飼料の給与状況を追跡・確認できる情報の管理システムを構築する。BSEをはじめとする家畜伝染病に的確に対応するための家畜衛生対策事業は17億円、流通飼料対策事業は2億5000万円、食品表示適正化総合対策事業は1億9000万といずれも前年より増えた。
さらにBSE対策として、検査体制に対応した施設整備などを推進するため新たに12億円を盛り込んだ。
野菜の構造改革対策費は、前年の90億円から310億円と大きく増えた。ネギ、トマト、ピーマンなどの監視品について改革計画を立てた産地を支援する輸入急増農産物対応特別事業は80億円。農業資材の新製品の導入や生産・流通体制の改革につながる掛かり増し費用を助成する野菜構造改革促進特別対策は46億円。また、野菜価格安定対策は、前年の47億円から135億円に拡充されている。
そのほか、昨年秋に決まった米の生産調整超過達成に助成する地域水田農業再編緊急対策は200億円。経営所得安定対策の具体化のための検討調査の実施予算も4900万円盛り込まれている。