全国農業会議所はこのほど、平成12年の「水田小作料の実態に関する調査結果」を発表した。それによると、実納小作料は全ブロックで下落、平成11年に比べ平均3.8%下落している。
同調査は全市町村農業委員会における田の借地のある農家を対象にしたもので回答農業委員会数2,302、集計農家4,443戸、集計筆数62,607筆。調査結果の概要は次のとおり。
1.集計農家1戸当たりの経営状況、( )内は平成11年
▽経営面積 357.9アール(347.9アール)
▽借入面積 183.1アール(180.4アール)
▽借入割合 51.2% (51.8%)
▽地主数 5.0人 (4.9人)
▽借入筆数 14.1筆 (13.9筆)
2.水田実納小作料の概況
(1)水田の実納小作料3.8%下落
全国の実納小作料は10アール当たり20,207円で、11年と比べ799円(3.8%)下落し、「かなりの下落」となった。昭和60年の34,655円をピークに下落しており、ピーク時と比べると14,448円(41.7%)の下落となっている。
これは、▽米価低迷による土地純収益の減少、▽農地の「受け手」(担い手農家)の不足で借り手市場となってきたこと、▽大幅な転作に伴う営農意欲の減退などが影響していると考えられる。
ブロック別では、中国が「大幅な下落」となったほか、東北、関東、東海、北信、四国、九州が「かなりの下落」となっている。
しかし、東北および北信の米どころでは、他地区に比べると高い水準になっている。都道府県別では1位が新潟県で31,363円、2位は秋田県の28,729円、3位が山形県の28,691円。
(2)小作料割合は14.3%
全国の小作料割合(粗収益に対する実納小作料の割合)を11年と比べると14.3%で0.1ポイント減となっている。12年産米生産費調査(農水省)によると、土地純収益は前年に引き続き赤字で、10アール当たりマイナス1,616円になっている(稲作経営安定対策の補てん金を加えない場合はマイナス12,420円という水準に)。
東北では、小作料割合が20%前後の県が多く、全体的に高水準。都道府県別では、1位が宮城県で21.6%、2位は新潟県で21.1%、3位は茨城県で20.8%となっている。
(3)標準小作料を4.9%上回る実納小作料(水稲のみ作付田)
水稲のみを作付けている田について、全国の実納小作料と平成12年度改訂標準小作料と比べると、実納小作料が10アール当たり952円(4.9%)標準小作料を上回っている。
(4)調査結果からみたいくつかのポイント
▽借入次期別に実納小作料をみると、「昭和56年〜平成2年」が21,099円で最も高くなっている。
▽契約期間別の実納小作料では、「10年以上」の長期契約が最も高くなっている。
▽支払形態別面積では、「金納のみ」が65.7%、「物納のみ」が22.7%、「金納+物納」が8.2%で、「金納のみ」が6割以上を占めている。金納を含めた2種類の組み合わせによる支払い形態の実納小作料が高い傾向にある。
▽「物納」による支払い形態の暦年の傾向は、小作料支払いの約4分の1を占め、最近では物納の方が低い傾向にある。