JA全農は、購入した牛肉の履歴を店頭や自宅で確認できるインターネットを利用したトレーサビリティのシステムを開発し、2月21日から実証試験を実施する。
トレーサビリティは、食卓にのぼる牛肉が、どこで生まれどんな飼料を食べ、どう流通してきたのかの情報を牛1頭ごとにガラス張りにして公開する仕組みだが、今回はそれを店頭や自宅で確認できるようにしたもの。
21日から実施されるのは、ジャスコ大和鶴間店(神奈川県)の対面販売コーナーで売られる鹿児島県産和牛のステーキ肉などが対象。店頭にコンピュータ端末を設置、タッチパネルに肉のパックシールに書かれた10桁の「確認問い合わせ番号」を入力すると、生年月日、品種、出荷日、と畜日、出荷先などの履歴情報とBSE検査結果が表示される。
枝肉から部分肉に加工処理する段階での個体識別番号は、2、3月の実験段階は産地ごとの枝肉番号とし、耳標装着が完了する4月以降は耳標番号を採用する。
生産履歴証明書やBSE検査書などのインターネットに載せる情報は、全農九州畜産センターがイメージスキャナで取り込んでデータ化する。
4月からは関東でも実施店舗を増やすほか、関西(宮崎県産和牛)、中部(鹿児島県産和牛)など約30店舗に広げる予定。
また、3月からは福岡県のエフコープ生協で販売するパック肉に問い合わせラベルを貼り、組合員の自宅からインターネットで生産履歴を確認できるシステムも稼働させる。
現在は、高島屋日本橋店などの4店舗で「全農安心システム」の第1号認証となった宗谷岬肉牛牧場産牛肉について店頭で照会できるほか、昨年7月からは大阪いずみ市民生協の組合員向けホームページで情報提供している。
今回の実証試験は、農水省の補助事業「安心・安全情報提供高度化事業」としてJA全農が実施主体となるもの。牛肉のほか、野菜(トマト)の生産履歴店頭検索(ジャスコ大和鶴間店で昨年12月から実施。茨城県産、神奈川県産)と、JAふくおか八女が開発した緑茶飲料のホームページでの情報提供(昨年7月から実施)も対象となっている。
同事業では、そのほか(財)食品産業センターが事業実施主体となって行う加工食品についての実証試験もある。今年度は、業務用液卵の製造工程などをパン、アイスクリーム、菓子製造業者に開示するためのモデル的システムの試験を行う。