JA全中は2月21、22日に「元気な高齢者対策推進セミナー」を東京で開催した。
平成12年にスタートした介護保険事業には現在、361JAが取り組み13年度は合計110億円の事業実績を上げる見込みだ。3年後には200億円にまで伸びると予想されている。ただ、介護保険事業の対象となるのは、高齢者のうち1割程度で、ほとんどが「元気な高齢者」だ。
同セミナーは、こうした元気な高齢者を対象にした事業をJAがどう展開するかを話し合ったもので昨年に続き2回め開催。
|
JAいずも
中尾陽ふれあい福祉課長
|
事例報告では、JA広島県中央会の原千枝子地域生活課長が県内JAが設置した介護予防施設「いきいき広場」について紹介した。木造の米倉庫を改造して昨年8月にオープン。
健康相談コーナー、体操コーナーや血圧測定器、マッサージ器などが備えられている。利用料は1日300円で開設以来、1日約100人ほどが利用しているという。JAの職員も常駐し医療セミナー、文化教室、農業セミナーなどイベントも開催している。
高齢者の閉じこもりや介護保険認定への移行を予防する事業としてJAの役割が期待され、行政の委託事業として行われている。
JAいずもの中尾陽ふれあい福祉課長は「青空デイサービス事業」を報告した。これは、管内の農地を借りて高齢者に農産物づくりの場を提供するもの。平成11年からスタートした。野菜苗の植え付けから、草取り、間引き、収穫まで年に7回程度実施している。
その間に島根医大が参加者の健康調査をしているが、参加前にくらべて血圧、中性脂肪、血糖値などが低下していることが明らかになったという。
|
JA広島県中央会
原千枝子地域生活課長
|
管内の高齢者へのアンケートでは「生きがい」として花・野菜づくりなどの項目が3割〜4割と高率だった。従来の受け身のサービスではなく「生きがいを作り出す」サービスが求められているともいえる。中尾課長は「営農指導員だけでなく、生活指導、LA、金融渉外担当者などJAの職員をフルに活用して高齢者が元気に過ごす事業を考えることも必要では」などと話した。
厚労省ではデイサービスのメニューとして「生きがい対応型デイサービス事業」も認めているが、JA全中では、医学的に健康づくりに役立つことが実証できれば、この「青空デイサービス」の認定もめざしている。
JA全中の桜井勇地域振興部長は「高齢者に関わる仕事はJAにとって高度成長分野。どういうニーズがあるのか、的確に捉えることが大切」などと語った。