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農政・農協ニュース

「地産地消」で食材の質向上を
民間委託の問題点も報告
―学校給食全国集会より (2/25)

会場写真

 「全国学校給食を考える会」が呼びかけ、日本消費者連盟、自治労、日教組が主催した「学校給食全国集会」が2月25日、日本教育会館で開かれ栄養士、調理士、市民団体などが全国から参加した。
 当日は、山形県高畠町の農民作家、星寛治さんが「地域が支える学校給食」と題して記念講演。県教育問題懇談会委員も務める星さんは、子どもたちのさまざまな問題の根底には「食の荒廃」があると指摘し、「純教育的な対応では、私たちがぶつかっている壁は乗り越えられない」と強調。
 高畠町で38年間続いている自給野菜の学校給食への供給の取り組みなどを紹介しながら、「食材の質を高めると食べ残しもなく、感謝の気持ちが生まれるなど、子どもが確実に変わる」と語った。地産池消の取り組みから学童農園へと発展させている例も挙げ、学校給食は地域の食文化や農的体験を含めて考えるべきだと訴えた。
 パネルディスカッションでとくに議論になったのは、各地で進んでいる民間業者委託の問題。
 「調理士だけでなく栄養士も民間という地域も出てきた。献立が不安」、「給食ができあがったのが午後2時だったという事態も報告されている」、「竹輪の天ぷらが1人4本、といった偏った例もある」などの指摘が会場からもあったほか、給食は教育の一環であり営利追求になっていいのかという声が相次いだ。

星寛治さん
農民作家の星寛治さんが
記念講演を行った

 パネリストとして参加した星さんも「コストダウンを追求すれば輸入農産物も使うようになるだろう。食べさせさえすればいいというのは、そもそも発想が間違っている」。
 ただ、こうした問題が起きていても関心のない親が多いのも実態。エッセイストで三鷹市教育委員でもある本間千枝子さんは「大人自身がもっと食の地位を向上させる努力が必要ではないか」と語り、学校給食に携わる関係者が親に問題を知ってもらう情報提供活動が必要だと指摘した。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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