国の牛肉買い上げ事業は6団体で実施しているが、農水省の立ち入り検査ではJA全農の買い上げ保管分から2.2トン(170箱)の不適格品が見つかった。このため全農は15日、これを持ち込んだ食肉卸売の2社に厳重抗議をし、買い上げを取り消した。
しかし、農水省が2社に事業悪用の「意図は認められない」としたため社名は公表しなかった。
不適格品はA社が約2223kg。品質保持期限切れや全頭検査後のと畜分などがあった。また買い上げは部分肉までという条件つきなのに、小売り用のスライス肉も含まれていた。B社分は約14kgで箱ラベルと内容が違っていた。
農水省は市場隔離を急いで、系統外からも広く買い入れるよう全農を指導していた。全農はそうした時間的制約から一部に不適格品が混じったと説明。また品質保持期限切れについては、農畜産業振興事業団の要綱と要領に明記されていなかったため、A社には買い上げ対象外だとの認識がなかったという。B社分については内容が確認できないまま入庫したとのことだ。
他の5団体よりも全農の保管分に不適格品が多かったのは、今回の検査対象に全農の荷が多かったという偶然からではないかと農水省は説明している。