共済・保険業界は、価格競争やサービス競争の激化、消費者の保険不信などによって「加速度的に厳しさを増している」が、JA共済は4月1日から「いままで以上に組合員・利用者に、低価格で多様なニーズに応えられる充実した保障仕組と利便性の高いサービスを提供しつづけていくために」、「ひと・いえ・くるま」の保障を総合的に提供できる新制度「JA共済しあわせ夢くらぶ」を創設する。
また、最近高まっている生存保障・医療保障ニーズにこたえるために、がん保障に特化した「がん共済」を新設した。
◆「ひと・いえ・くるま」の保障を総合的に提供する「JA共済しあわせ夢くらぶ」
「JA共済しあわせ夢くらぶ」は、「JA共済フォルダー」と「プラス割引(共済契約通算割引)」という2つの仕組みと、JA共済フォルダーの付帯サービス「しあわせ特典」によって構成される制度だ。
「ひと・いえ・くるま」のすべてを保障するJA共済ならではの制度だといえる。
【JA共済フォルダー(以下、フォルダー)】 生命・建更・自動車など複数の共済契約を、共済契約者単位にまとめて管理する仕組みだ。契約者ごとに複数の共済契約を管理することで、従来は共済契約ごとに行っていた住所変更のなどの手続や契約内容の案内が一本化される。
また、フォルダー内にまとめられた共済契約のポイントに応じて、新たに加入する各種共済の共済掛金が割引かれる「プラス割引」が適用されるなど、契約者に対する諸サービスを強化するための基盤になる仕組だと位置づけられている。
【プラス割引】 フォルダーに登録されている長期共済契約の共済金額100万円を1ポイントとし、フォルダー内の契約ポイントの合計が30ポイントに達している場合には、14年4月1日以降に新たに締結された長期共済契約、自動車共済契約の共済掛金を割引くという仕組みだ。
ただし、年金共済など共済の種類や特約によってはポイントが付与されないものや、転換契約などポイント付与方法が異なるものがある。また、自動車共済の場合には、新設された「自動継続特約」が付された契約に限定される。
割引率は、長期共済の場合、30ポイントを超える部分について、1ポイント(100万円)あたり年額120円(14年度割引率)が割引かれる。自動継続特約が付された自動車共済の場合には、共済掛金の3%が割引かれる。
【しあわせ特典】 フォルダーを設定した共済契約者に対して、JA共済温泉・保養施設優待割引、ClassA加盟店優待割引、関連施設優待割引などのサービスを提供するもの。
◆3年間で790万人の会員を目標に
JA共済連では3月末現在で、30ポイントを超える対象者は約460万人と試算しているが、30ポイント未満の対象者や未加入者への推進をすすめ、16年度までの3ヵ年で、くらぶ会員790万人を目指していく。
◆すべてのがんを一生涯にわたって幅広く保障する「がん共済」
組合員・利用者のがん保障ニーズに応え、すべてのがんを一生涯にわたって幅広く保障し、がん以外の脳腫瘍につても良性・悪性を問わず低廉な掛金で保障するのが新設された「がん共済」だ。
がん入院共済金を基準に他の共済金の額が決る仕組みとなっているが、がん入院共済金日額1万円の場合の各共済金の額はおおむね以下の通りだ。
【がん入院共済金】 1万円。入院初日から支払・支払日数無制限。
【がん診断共済金】 100万円(がん入院共済金の100倍)。共済期間を通して1回支払。
【がん手術共済金】 10万円、20万円、40万円(手術の種類に応じて、がん入院共済金額の10、20、40倍)。回数に制限はない。
【がん退院後療養共済金】 20万円(がん入院共済金額の20倍)。継続して20日以上入院して生存退院した場合に支払。回数制限はない。
【がん死亡共済金】 100万円(がん入院共済金の100倍)。がんを直接の原因として死亡した場合に支払。
【死亡給付金】 がん以外の原因で死亡した場合に支払。
このがん共済も、JA共済しあわせ夢くらぶの割引対象となっている。
◆自動車共済に「自動継続特約」を新設
自動車共済の継続手続は、共済契約者からの継続申込み手続が必要だが、共済契約者から別段の意思表示がない場合には、終了する契約と同一の内容で継続できるようにしたのが「自動継続特約」だ。
この特約によって、手続が省略され利用者の利便性が向上すると同時に、JAにおける引受事務コストが低減される。
JA共済しあわせ夢くらぶで、自動車共済の割引を受けるためには、この特約を契約しなければならない。
この他、自動車損害賠償保障法の改正に伴う自賠責共済の改訂。確定拠出年金共済の新設や退職年金共済の改訂など、団体向けの仕組改訂も4月1日から実施されている。