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農政・農協ニュース

1県1JA出現加速か
JA全中がより明確な対応指針検討へ (4/10)

 JA合併が進む中で、超大型の1県1農協がすでに3つも出現。さらに2県が1本化構想を決めた。このため1つのJAしかない県に「中央」会という機関がいるのかどうかなどといった問いかけも出てきた。さらに1県1JAをJAグループの組織整備の中に、どう位置づけるか、まだ明確でない点もある。このためJA全中は4月10日の理事会に、これらの課題に対応する検討にとりかかることを報告した。

 1県1JAは全国で初めて平成11年4月に奈良県農協(JAならけん)で実現。次いで翌年4月に香川県農協(JA香川県)が発足。この4月には沖縄県農協(JAおきなわ)がスタートした。さらに徳島県と福井県が昨年秋に1県1JA構想を決定した。
 奈良県の場合は経済事業と信用事業をJAならけんが引き継ぎ、経済連と信連がなくなった。共済連は全国統合でJA共済連の県本部となった。
 こうしたことから奈良県農協中央会は職員数がピーク時の40人(JAからの出向を含む)から現在は9人に激減した。うち6人は出向者であり、プロパーはわずか3人となった。
 香川は奈良のように県内全JAの合併ではなく、JA高松市とJA香川豊南がはずれたため3JAとなっており、厳密には1県1JAとはいえない。
 しかし経済連、青果連、施設連の事業と組織を包括してJA香川県が継承したことなどから1県1JAの組織に含めた。信連は存続している。JA香川中央会は3JA合併を目ざしているが、合併協議会はまだ設置されていない。ここも中央会職員が激減した。
 沖縄県は27の全JAが合併したが、包括承継はまだで県域各連合会が存続しており、承継条件の整備という課題を残している。
 いずれにしても1県1JAは急展開の形だ。このあと2県が実現に向けて走っている。このため全国的には“全中の姿勢は1県1JAの推進”と、とらえるJA役員も出てきた。

 しかしJAグループとして、そうした方針は打ち出してはいない。こうしたことから、全中は1県1JAのあり方に焦点を合わせた指針が求められているとして、その検討に入る。
 協同組合論の研究者などの中には、JAが新規事業を展開するためには1県1JAへの指向は避けられないとして、JAの適正規模を深く考える必要があるとの議論も出ている。
 一方、経営困難なJAと合併する隣接JAの負担が重いため、それよりも県全体の超大型組織の中に“弱いJA”を抱え込んだほうがよいとする“救済型”の考え方による1県1JA構想が現実には多い。
 なお1県1JAの3県では引き続き県中央会が機能している。また全中の中央会機能・体制整備研究会は1月に▽「組織運営上の拠点機能」は事業の重点化を図りつつ、県と全国のそれぞれの段階で機能を発揮し▽指導機関としての「事業展開上の拠点機能」は県中と全中の一体的運営と事業統合を図るなどという基本的考え方をまとめた。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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