JA全中の「JA改革推進会議」は5月9日、公開で開催。「Aコープ店舗は地産地消や組合員の生活に役立っているのか」「地元業界と競争してまで維持する必要があるのか」などの疑問が出て「店舗がなくても困らない地域が多い」「最大手のダイエーでさえ行き詰まるという中で生活事業を根本的に見直す必要がある」「JAでなければやれない事業に特化すべきだ」などの議論が出た。
また生産・流通の履歴を買い手に知らせるトレーサビリティでは「生産工程の管理者として営農指導の強化が求められる」「例えば生物農薬を使う場合など高齢者による記録は困難だ。営農指導員の支援が必要」などの声が出て、今村奈良臣議長(東大名誉教授)は「だが(JA合併などで)営農指導員は減っていっている」と矛盾を指摘した。
同会議は現場の声をJA改革に反映させるために設け、委員は担い手とJA組合長ら19人。第1回会議は1月下旬。この日は2回目。食品の表示問題と安心・安全対策も協議した。
最初に、JA全農の「安心システム」生産を土台にJAグループ全体で「JA型トレーサビリティ」を拡大していくという方針を全中から説明。
委員からは「何を誰に売るかという販売目的を前提に安心システムをつくるのだという考え方が大事だ」とマーケティングに向けた意識改革の強調があった。またカントリーエレベーターに入るコメの質を一定にするJAの取り組みなども報告された。
JA改革では▽上部団体は全てを集荷しようとしてJAの独自販売には圧力をかける▽経済連と全農の手数料合計は統合後も変わっていない▽全農県本部は今後も残るのか、再編しないのか、などの声が出た。
全農の松尾英章常務は、経済事業は地域性が大きいから県本部を置き、グローバルな業務をする全国本部と機能分担している、などと説明した。
このほかAコープやガソリンスタンドの撤退や会社化で地域業界との共存を図ったなど、多様なJAの取り組み報告があった。