JA全中の「食料・農林漁業・環境フォーラム」は5月10日「酪農生産の再生」をテーマに学習会を開き、家庭栄養研究会の蓮尾隆子代表は「牛乳は命の糧。政府が管理すべき食品ではないか。飲み過ぎるとよくないが、過剰摂取を『危険』とする雑誌報道は正しくない」などと報告。
また偽装表示について、食品工場の現場は効率優先で労働者自身が品質管理に疑問を持ち、リストラによる人手不足を手抜きでカバーしているといった大きな問題点を鋭く指摘した。
食品産業の出席者らは、量販店の安売り競争の目玉となった牛乳は水より安いと流通問題を挙げた。
農水省の担当者は「スーパー、コンビニの乱立で競争が激しく量販店ももうかっていない。季節による供給過剰もある。量販店は安く売るのは消費者によいことだ、メーカーはもっと合理化せよと迫る。酪農家は乳代を上げよと求める。このままでは悪循環だ。だから食品の価値の正当な評価が必要」と論じた。
経済人は「量販店の買いたたきを優越的地位の乱用で公正取引委員会に訴えたらどうか」と提起した。
農水省側は「訴えたら取引停止が恐ろしい。公取自身が調査をすればよいのだが、いずれにしろ情報開示を望みたい」とした。
一方、北海道の酪農・舟橋秀貴さんはBSE対策で「近くのと畜場が廃用牛を受け入れない場合、遠くの施設へ運ぶ輸送費を国が助成しているが、それよりもどこのと畜場でも受け入れるように国が指示を出したらどうか」と予算の使い方に疑問を呈した。
また「廃用牛の値段は半分に落ち込んだが、牛肉の卸価格はほとんど下がっていない」と指摘した。
さらに乳脂肪分を下げ、タンパク質を上げよという要求に答え「EUでもそうなっているので6年ほど前から育種改良をしている。しかし乳代にはまだ脂肪分が算入される」とした。
生草を食べれば脂肪分が下がるため草地放牧の拡大でも議論した。次回の学習会は5月下旬でテーマはWTO農業交渉。