JA全農は6月中旬の決着に向け、平成14肥料年度(7月〜15年6月)の価格交渉を精力的に進めている。メーカー各社は値上げを求めているが、全農は農産物価格の長期低迷から農家の資材コスト低減要求が、かつてなく強く、また一部の汎用銘柄に安売りが広がっていることなどから値上がり要因の企業努力による吸収を求めている。
肥料需要は大幅減少が続き、メーカーは稼働率が一層低下したため、分社化と撤退に拍車がかかって4月には三菱化成が肥料事業を分社化。6月末には信越化学が肥料から撤退する。
また各社とも円安による原燃料コストの上昇を懸念している。リン鉱石は全農の主要山元である中国で輸送などのコストが上昇。塩化カリも世界最大のカリ山元であるカナダの会社とロシアのカリ山元が販売提携するなど、か占化傾向が加速化している。
為替レートは最近、円高だが、全農では今後の相場を不透明としている。
一方、全農が9肥料年度から開発輸入しているヨルダン肥料「アラジン」の出荷実績は、前年対比110%以上の伸び率だったが、13肥料年度4月末では102%と鈍化した。
しかし全農はアラジンを生産資材費低減の柱と位置づけ、普及率の低い地域での需要掘り起こしなどに努め、全国普及率を10%ほどに高めることを目標にしている。