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農政・農協ニュース

乳業トップ目ざして統合会社設立の準備委スタート
−− 全農、全酪連、雪印(6/5)

記者会見

 雪印乳業、JA全農、全酪連は5日、牛乳事業を統合し、新会社を設立することで基本合意した。新会社は全農が約60億円を出資して筆頭株主となり、社長を派遣する見込み。雪印の牛乳部門を分割し、全農系の全国農協直販(株)と全酪連系のジャパンミルクネット(JMN)(株)の3社が統合して来年1月1日に設立の予定。資本金は150億円程度。株主比率は全農40%、雪印30%、全酪連20%。あと10%を農林中金が出資する。
 新会社は初年度の売上高2300億円を見込み、明治乳業と並ぶ国内トップクラスの乳業メーカー出現となる。次年度の平成16年度には黒字化を目ざす。
 業務は牛乳、乳飲料、発酵乳、果汁の製造、販売。 すでに定着している3社のブランドを継続するが、これに加えて新ブランドを構築し、発足時には4銘柄を扱う。全農の四ノ宮孝義専務は、統合前に新ブランド商品を開発して「設立と同時に発表し、4月から発売できるように持っていきたい」という。
 従業員数は3社合計より約1000人削減して約2000人を見込む。
 施設は雪印が老朽化した倉敷工場(岡山県)を9月末に閉鎖する。またJMNは神戸工場を、さらに全農直販も1工場の閉鎖統合を検討中だ。新会社の生産拠点は直営15工場となる。うち雪印からは10工場を引き継ぐ。
 営業拠点は支店と営業所を30ヵ所に集約する。現在は雪印の32ヵ所をはじめ計68あるが、これを支店中心に再編統合する。
 農林中金を含めた関係6団体は5日、基本合意書に調印。新会社設立準備委員会で全農の木下順一副会長を委員長に任命した。
 その後、東京都内のホテルでの記者会見で、木下副会長は「新会社は日本最大の乳業メーカーを目ざして生活者と酪農を結ぶパイプ役の機能を強化したい」と牛乳販売量の国内シェアNO.1の目標を強調した。
 また農林中金の上野博史理事長は同金庫が「ここに至るまでの調整役をやってきた関係とか、新会社のメインバンクになることも考えて出資要請に応じた」と記者の質問に答えた。
 さらに全酪連の上野千里会長は「国際競争力のある大規模会社の設立で生産者乳価の安定を目ざしたい」と語った。
 なお全農は、雪印乳業本体の第三者割当増資も50億円を限度に引き受け、バター、チーズなどの乳製品事業に特化する本体との事業提携を強化する。

 「過剰」改善へ
 宅配など事業拡大も

 牛乳事業統合で関係6団体代表は5日記者会見し、全農の四ノ宮専務は、統合目的を「健全経営のビジネスモデルを実現すること」などと説明した。
 また「牛乳事業に共通の経営課題は過剰な設備と要員を抱えていることで、これが統合によって大幅に改善できる」とした。
 具体的な統合メリットとしては▽要員一人当たりの生産量が統合前に比べ45%伸びる(現状は3社平均で317キロリットル)▽一人当たりの売上高も30%伸びる(現状は8700万円)という人員適正化による生産性向上の試算を示した。
 また物流、営業、管理の重複コストは統合で2割程度削減できるとした。
 一方、雪印の西紘平社長は「新会社は優に3000億円以上を売り上げる底力を持っていると思う」などと次のように語った。
 雪印には宅配店3000店があり、3社合計では3500店になるから、高齢社会の中で、ほかの農産物も、こうしたルートに乗せるなど新たな事業拡大ができると考えられる。
 今の牛乳市場は乱れている。再生産を考えた牛乳本来の価値にふさわしい価格帯を形成していくことがメーカーの使命だ。新会社の売上げ規模は、それを果たせる可能性を秘めている。


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