JA全中は、農水省が推進する「食と農の再生プラン」への対応について基本的な考え方を6月6日の理事会で整理した。
「食と農の再生プラン」はBSE問題調査検討委員会報告を受けてこの4月、食の安全と安心の確保、農業の構造改革の加速化、都市と農山漁村の共生・対流を柱にしたプランとして農水省が発表した。
さらに、同プランの推進具体策、「食料産業の構造改革について」を武部勤農相が5月30日に開催された経済財政諮問会議で説明した。
そのなかで、とくに農業の構造改革について、「株式会社など意欲ある法人の参入機会の拡大」、「農地法の見直しに着手」、「経営体の育成を真に支援する農協組織への改革」が打ち出されている。
また、同会議で議論されている「構造改革特区」構想について、農業でも規制緩和を行う特区を設け、地場企業の農業参入を可能としたり、都市からの移住者などへの農園付き住宅の供給やグリーンツーリズムを促進するなどの構想を示している。
JAグループとしては、同プランは、BSE発生や食品偽装事件に端を発した消費者・国民の農政不信に対する改革案だとしながらも、サブテーマが「消費者に軸足を移した農業政策の推進」とあるように、「農業経営の株式会社化」、「農協組織の改革促進」などの内容は、農業サイドにとって厳しいものになっていると受け止めている。
とくに農協組織の改革促進については「改革か解体か、真価が問われている」と表現している。この点について6日の理事会でまとめた考え方では、同指摘について「改革に取り組んでいる立場からすると納得がゆくものではない」として、改めてJA改革の一層の推進や食の安全と安心の確保などへの取り組みを強化することにした。
また、今回の「食料産業の構造改革について」は、生産者やJAグループなど現場の農業者との意見交換などがなく、トップダウン式に武部農相が示したため、今後、JAグループの意思反映を積極的に行っていくことも確認した。